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帰ってきたyokeのブログ。JR東海運用情報の更新情報も兼ねています。
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2011年01月19日

中央線のほか、関西線や静岡地区でも旅客列車で一部使用が始まったATS-PT。新たな動きがあればまた報告しますが、今回はATS-PTの基本的な仕組み、動作についてお話ししたいと思います。

二つの照査

ATS-P形は連続的に列車の速度を監視(照査)していますが、この照査は大きく二つに分けられます。

  • 速度制限に対する照査
  • 減速パターンに対する照査

一つめの速度制限。これはよくおわかりでしょう。列車には使用する車両によって、あるいは走行する路線によって最高速度が定められています。また、曲線や分岐器などには、その箇所に応じた制限速度が定められています。ATS-PT形はこれらの速度を監視しています。

二つめの減速パターン。これがATS-PのPたる由縁の部分です。列車は急には停まれません。いきなり速度を半分にすることも不可能です。では、決められた位置で停まるには、また速度制限を守るには、『どこからブレーキをかければよいのか?』『どの地点でどれぐらい速度に落としておけばよいのか?』この答えが減速パターンになります。ATS-Pは、前方の停止信号や速度制限に対し減速パターンを作り、パターンに対する速度の照査も行ないます。

停止信号に対する速度照査

ある信号が赤、つまり停止現示のとき、列車がやってきました。ATS-PTはどのように速度照査をするでしょうか。図を使って見てみましょう。

まず、ATS-PT車上装置は列車の最高速度を監視しています。この例では110km/hとしましょう。では、110km/hを越えたらすぐに非常ブレーキがかかるのかと言えば、そうではありません。速度計の誤差(車輪が磨り減ると速度が高めに出る)や運転操作上の余裕を見て、+10km/h程度を許容しているようです。ですから、この場合は120km/hを越えるとブレーキがかかる計算です。その前に、+5km/hの115km/hで警報を発するようにできています。

さて、ATS-PT地上子は列車が通過すると、次の信号が赤であることを知らせるデジタル電文を送ります。この電文には、停止信号までの距離、下り勾配などの情報が含まれています。車上装置は、この情報に車両のブレーキ性能を加えて、減速パターンを作ります(下図)。

停止信号に対する速度照査パターン

上図の赤のラインが絶対に超えてはいけないラインです。このラインは、停止信号から余裕を見て10m手前で停まれるように引いてあり、これを超えると即非常ブレーキがかかります。また、青のラインは、減速パターンが近づいていることを運転士に警告するための「パターン接近警報」ラインです。

車上装置は、車輪に付けられた速度発電機から、速度と信号までの残りの距離を計算し、このパターンを超えないかどうか監視をしていきます。では、照査の状態を見てみましょう(下図)。

停止信号に対する防護

黒い破線が通常運転を示しています。停止信号の前は注意信号があるのが一般的ですから、運転士が列車の速度を45または55km/h以下に抑えて走ってきます。さらに、停止信号の50m手前で停まるのが所定のルールです。

一方、赤の破線は異常運転の場合です。停止信号が近づいても速度を落とさないと、まず青いラインを超えます。このとき「パターン接近」ランプが点灯して警告音が鳴り、
「このまま5秒放置すると、非常ブレーキをかけまっせ~」
と運転士にブレーキ操作を促すわけですね。それでも速度を落とさずにいると、赤いラインに当たって、非常ブレーキがかかり、強制的に停止信号の10m手前で列車を停めます。


ATS-Pの優れているところは、どんな速度で突っ込んだとしても、必ず列車を停止信号の手前で停める点にあります。たとえば、注意信号を無視して100km/hで突っ込んでも、途中で列車が加速しても、パターンを超えた時点でブレーキがかかります(下図参照)。このように、停止信号までの残りの距離と速度を連続的に照査していることが大きなポイントです。

旧来のATS-ST形は、地上子のある場所しか速度照査ができませんでした。JR東海の駅では出発信号手前に、ST形の地上子がずらりと並んでいることがありますが、あれだけ並べないとまともな速度照査ができないんですね。さらに、注意信号(45or55km/h)を無視して高速で列車が突っ込んでくることはST形は想定外でした。これに対して、PT形は多くの地上子を並べることなく、連続的な速度照査を可能にしています。

速度制限に対する照査

今度はカーブなど、速度制限がある場合を見てみましょう。

ATS-PTの地上子には、停止信号までの距離を送る地上子のほかに、速度制限情報を送る地上子があります。二つ並んで設置してあるPT地上子は、だいたい速度制限用です。この地上子を列車が通過すると、制限速度、制限区間長、制限区間までの距離、制限区間に至るまでの下り勾配の情報電文を車上装置で受け取ります。この情報をもとに照査パターンを作成します。下図は75km/hの速度制限がある場合です。

速度制限がある場合の照査パターン

停止信号のときと同様に、制限区間の手前10mで所定の速度に落とすようにパターンを決めます。非常ブレーキの5秒手前で「パターン接近」を警告するのもの同じです。ただし、速度制限区間に入ると、多少の余裕を見て照査が行なわれます。一般には、制限速度の+5km/hでパターン接近、+10kmで非常ブレーキ作動といったところのようです。

また、ATS-Pは車種によって制限速度を変える機能を持っています。本則(基本となる制限速度)のほか、ある車種は+10km/hまで、またある車種は+25km/hまで、といった情報を別に送っておき、車上装置が自車の設定によって、制限速度を選ぶようになっています。これによって、貨物列車、普通電車、振子付特急車で異なる場合の速度制限に対応しています。

速度制限に対する防護

さて、実際の運転でどう防護するかを示したのが上図です。

異常運転(赤の破線)の場合、やはりパターンに当たる5秒前に「パターン接近警報」があり、そのまま放置すると非常ブレーキがかかります。速度制限に対する防護ではあるのですが、ATS-PTは赤いラインに当たると速度を落とすのではなく、列車を停止させます。もちろん、所定の速度を超えて速度制限区間に進入しないようにしています。


ATS-PT講座、次回はPT形の地上子について説明します。

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