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2013年02月02日

3月に迫ったJRのダイヤ改正。改正後は関連記事が集中することになりますので、いまのうちに鉄道設計技士試験のやり残しを書いておきます(笑)。

前回は、アノ車両の抑速ブレーキに関する問題と題して、213系5000番台に似た条件の車両が、下り勾配で抑速回生ブレーキを使うときの設問を解説しました。今回はその設問の続きです。

問40(続き)

電車が20‰の勾配を下りきり、平坦区間に入った直後に、抑速回生ブレーキ時の5倍の回生ブレーキ力で一定ブレーキ力のまま減速を続けた。

  1. 電車が速度72 km/h から7.2 km/h まで減速するまでに( [2] )秒を要した。
  2. 速度7.2 km/h に達した瞬間の架線電圧は1,500 V に低下しており、ここで空気ブレーキに切り替わった。この間、回生ブレーキ力は一定であったとすると、平坦区間における回生エネルギー量は( [3] ) MJである。
  3. 速度7.2 km/hに達した時の架線への回生電流は( [4] ) Aである。
  4. 平坦区間で回生ブレーキが動作した間の平均回生パワーは( [5] ) kW である。このことから、ブレーキ時のエネルギーを発電抵抗や制輪子摩擦で最終的に熱として処理する場合に比べると、回生ブレーキの有効性がよくわかる。

前回は下り勾配の抑速回生ブレーキの問題でしたが、今回は平坦区間における回生ブレーキの問題です。車両の質量や諸々の走行抵抗を無視することなど条件は前回と同じ。

回生ブレーキで減速

例によって、図は私のオリジナルです。

前回の問題は、213系電車によく似ていると言いましたが、今回はちょっと条件が異なります。前回の抑速ブレーキは、M車(電動車)がT車(付随車)のブレーキ力も負担し、これは213系も同じです。しかし、通常ブレーキとなると、213系の回生ブレーキはM車分のみしか負担せず、T車は別途空気ブレーキを使います。

また、界磁添加励磁制御の213系は、速度が25km/h程度で回生ブレーキが失効します。したがって、問題にあるような7.2 km/h まで回生ブレーキのみで減速するケースは、我らが213系とはだいぶ条件が違います。

減速にかかる時間を求める

では、順に解いていきましょう。

設問の2番目は、前回の抑速回生ブレーキ時の5倍のブレーキ力(一定)を平坦区間でかけたとき、72km/hから7.2km/hまで減速するまでの時間を求める問題。ここで抑速回生ブレーキ時の回生ブレーキ力は、前回の解説で示した 13.2kN です。

まず、ブレーキ力F(kN)は13.2kNの5倍ですから、F = 13.2 × 5 = 66.0 kNです。このブレーキ力と車両の質量m(= 38t+28t = 66t)から、ブレーキの加速度(減速度)a (m/s2)を求めます。減速度ですから符号は負にしておきます。

  • F = ma
  • a = F/m
  • a = -66.0 / 66
  • = -1.0 m/s2 = -3.6 km/h/s

運動方程式(力 = 質量×加速度)を変形して、加速度(減速度)を求めただけです。最後に単位をm/s2から3.6をかけてkm/h/sに直していますが、m/s2のままでもかまいません。その場合は、速度をm/sに直すことになります。

次に時間を求めましょう。一定加速度aで減速するとき、時間tと初速度v0が速度vの関係は以下の式になります。速度の差(v-v0)は、加速度aに時間tを掛けたものに等しい、これを式にしただけです。

  • v - v0 = at
  • t = (v - v0) / a
  • t = (7.2km/h - 72km/h) / (-3.6km/h/s)
  • t = 18 s

したがって、設問2の回答は 18秒となりました。

回生エネルギー量を求める

次に、この間に回生ブレーキで得られた全エネルギー量を求めます。いろんな出し方があるのですが、今回は走行抵抗を無視していますので、減速に使われたエネルギーは回生電力量に等しくなっています。ですから、減速前と減速後の運動エネルギーの差を求めるのが簡単でしょうね。

運動エネルギーK(kJ)は、質量m(t)に速度v(m/s)の2乗を掛け、さらに半分にしたものに等しくなります。

  • K = 1/2・m・v2

では、初速度v0=72km/hのとき、速度v=7.2km/hのときの運動エネルギーの差ΔK(MJ)を求めてみましょう。J(ジュール)で求めるとき単位はメートルと秒を使いますので、速度はkm/hを3.6で割ってm/sに直します。

  • ΔK = 1/2・m(v02 - v2
  • = 1/2×66×{(72/3.6)2 - (7.2/3.6)2}
  • = 1/2×66×(202 - 2.02)
  • = 13068 kJ
  • = 13.068 MJ

質量がt(トン)の場合、出てくる値はkJ(キロジュール)ですので、MJ(メガジュール)に直すため、最後に1000で割っています。さらにこの問題は、小数点以下を四捨五入して求めることになっていますので、13 MJが正答となります。

7.2km/hに減速したときの回生電流

この設問は、前回の抑速回生ブレーキ時の回生電流を求めた方法が使えます。つまり、前回と同様にブレーキ出力を求め、それを架線電圧で割ってやれば求まるんですね。

前回解説したとおり、ブレーキ出力P(kW)は力と速度を掛けたものになります。これにブレーキ力F(=66.0kN)、速度v(=7.2km/h/3.6 = 2.0m/s)を代入してやりましょう。

  • P = F・v
  • = 66.0×2.0
  • = 132 kW

求めたブレーキ出力Pを架線電圧E(=1500V=1.5kV)で割ってやると、回生電力I(A)が得られます。

  • I = P / E
  • = 132kW / 1.5kV
  • = 88 A

設問4の解答は、88Aとなりました。

平均回生パワー

最後の設問は平均回生パワー。つまり、平均回生出力です。ブレーキ出力はブレーキ力に速度を掛けたものですから、ブレーキ力が一定でも速度によって変化します。速度が高ければ大きく、速度が低ければ小さくなるので、平均というわけですね。

出力は、単位時間あたりの仕事量(=エネルギーの変化量)です。したがって、平均回生パワーPm(kW)を求めるには、設問3で求めた回生エネルギー量ΔK(=13068kJ)を、設問2で求めた減速にかかる時間t(=18秒)で割ってやれば良いんですね。

  • Pm = ΔK / t
  • = 13,068 / 18
  • = 726 kW

ってことで、解答は726kWとなりました。余談になりますが、この出力をモーター1個あたりに換算すると181kW。さらに初速度72km/hで計算すると、モーター1個あたり330kWにも及びます。このように力行時に比べ、ブレーキ時のモーター出力はかなり大きくなるんですね。


関連リンク

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2012年11月20日

前回に引き続き、鉄道技士試験に関する話題です。

「え~。またかよ」と思われる方もあるでしょうが、今回の問題はここのブログにちょうどいいテーマ?を選んでみたものです。

さて、鉄道技士試験は鉄道総研が平成8年から実施しているもので、鉄道土木・鉄道電気・鉄道車両の三つの専門分野に分かれています。前回の模擬試験問題は分野を問わない共通試験からのものでしたが、実際の過去問と解答(答えのみ)は以下でごらんになれます。

では、平成23年度の鉄道車両・専門試験Iの中から、一問だけ引用します。

問40

20‰の勾配を、抑速回生ブレーキにより72[km/h]で下っている電車がある。この電車は質量38[t]の電動車1両と質量28[t]の付随車1両で編成されている。なお、回転慣性、走行抵抗、電動機効率、歯車効率、主回路損失は無視するものとし、ブレーキ変化時の追随性やジャークによる影響は無視するものとする。また、勾配の角度θ[rad]については、θ≒tanθ≒sinθが成り立ち、重力加速度g=10m/s2とする。

  1. 抑速回生ブレーキ中の架線電圧が1,650[V]一定の場合、架線への回生電流は( 1 )Aである。
  2. (以下省略)

設問は全部で5問あるのですが、あんまり書くと引用の範囲を超えそうなので、1問だけにしておきます。なお、右の図は私のオリジナルです。

さて、この問題がなぜこのブログと関連するのか、それはこの車両構成が213系とよく似ているからです。1M1Tの2両編成で、抑速回生ブレーキを備え、車両の質量(M車38t,T車28t)も座席が8割方埋まった213系と近いんですね。しかも20パーミルの下りで抑速ブレーキをかける、現在運用中の飯田線を思わせます。

というわけで、213系が抑速ブレーキをかけると、架線にはどれぐらいの電流が戻るのか、この問題を例に考察しようというわけです。

高校レベルの力学を覚えている人には、それほど難しくないかもしれません。なお、問題文にあるsinやtanの下りは、sinθ=tanθ=20/1000と考えていいよ、という意味です。力学的にはsinを使うのが正しいのですが、θが小さい場合、tanθとsinθ(さらに言えばθradも)は近似できるので、tanθ(つまりはパーミル)をそのまま使うのが通例です。


では回答編です。

問題の解き方ですが、以下の手順になります。

  • 抑速ブレーキ力 F(kN)を求める
  • 抑速ブレーキ出力 P(kW)を求める
  • ブレーキ出力Pと架線電圧 E(kV)の関係から、回生電流 I(A)を求める。

ブレーキ力を求める

斜面の問題

右に図を描きました。昔、理科の授業でやりましたよね(笑)。いわゆる斜面の問題で、摩擦で滑らないための条件は?などの設問がついて回りました。

今回の問題では摩擦はありませんが、代わりに抑速ブレーキをかけます。抑速ブレーキは速度を変えないことが条件です。速度が変わらないことは、この物体(車両)にかかる力が釣り合っていることを意味します。つまり、車両が重力によって滑り降りようとする力(図中の黒い矢印)と大きさが等しくなるように、ブレーキ力Fを決めてやればいいんですね。

さて、この車両には重力mgが作用します。mは質量(=38+28t)、gは重力加速度(=10m/s2)です。さらに斜面上に置くと、滑り降りようとする力として、mg・sinθが分力として現れます。三角関数が出てきて、拒否反応を示した方もあるかもしれませんが、ご安心ください。問題にあるように、sinθ=tanθ=勾配としてよいと書かれていますので、単純にmgi (i=20/1000)と置き換えることができます。したがって、ブレーキ力Fは、

  • F = mgi
  • = ( 38+28 )× 10 × 20 / 1000
  • = 13.2 kN

このように求まりました。質量を10倍して勾配を掛ける、意外に単純です。さらに言えば、力をtで求めるなら、10倍する必要もありません。

ブレーキ出力を求める

ブレーキ出力とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、加速するときと同様に、力をかけて速度を変化させれば、出力がついて回ります。

では、出力とはなんぞや?という話になるのですが、これは仕事(kJ)を時間で割ったものと考えてください。出力が大きければ、短い時間で同じ仕事ができます。同じ速度を得るには、出力をたくさん出した方が、早く目標速度に到達します(=加速が速い)。

さて、仕事と言えば、以下の式で表せます。

  • 仕事 (kJ) = 力 (kN) × 距離(m)

仕事(kJ)を時間(s)で割れば出力(kW)になるのですから、式の右辺も時間で割ってやりましょう。力を時間で割るというのは意味がわかりませんから(笑)、距離(m)を時間(s)で割って、速度(m/s)にしてやります。

  • 出力 (kW) = 力 (kN) × 速度(m/s)

これで式ができました。力 Fは先ほど求めた13.2kN。速度は問題に72km/hとありますので、3.6で割って秒速に直します。

  • P = F・v
  • = 13.2(kN) × 72 / 3.6 (m/s)
  • = 264 kW

と、ブレーキ出力が求まりました。

213系は定格120kWのモーターを4つ積んでいますので、編成定格出力が480kWです。おおむね定格の半分ぐらいのブレーキ出力になります。一般に電車は定格の1.4~1.5倍の出力を使うと言われていますので、それを考えるとフルで力行しているときの約40%ぐらいと言えます。

というわけで、抑速ブレーキの回生電力を知ろうと思ったら、

  • 回生電力(kW)
  • = 編成質量(t) × 10 × 勾配(‰) / 1000 × 速度(km/h) / 3.6
  • = 編成質量(t) × 勾配(‰) × 速度(km/h) / 360

おおまかには、こんな式で簡単に出せるってことですね。たとえば、編成質量400t・10パーミル・90km/hで抑速ブレーキなら、400×10×90 / 360 = 1000kWが簡単に出ます。役に立つかはわかりませんが(笑)

回生電流を求める

これは簡単です。電力=電圧×電流ですから、回生電力(kW)を架線電圧(=1.65kV)で割ってやれば、回生電流が求まります。

  • 回生電流(A) = 回生電力(kW) / 架線電圧(kV)
  • = 264kW / 1.65kV
  • = 160A

と最終的な答えが出ました。

2012年10月30日

鉄道設計技士に挑戦、前回は1問目の解答編をお届けしましたが、今回は2問目、運転曲線の問題です。まずは、問題文のおさらいから。

次の文章はA駅とB駅の運転曲線について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な数値を回答欄に記入しなさい。なお、制動開始時の空走時間は考えないものとする。また、解答の数値に小数第2位以下がある場合は、小数第2位を四捨五入して小数第1位で解答しなさい。

列車は、A駅から一定加速度2km/h/sで加速し、1kmの地点で惰行運転に入る。惰行運転開始時の列車の速度は( 1 )km/hである。1kmの地点で2kmの地点まで惰行中、列車は一定速度を保って走行しており、惰行中の時間経過は( 2 )秒である。2kmの地点で、B駅に入場するため制動をかける。停止までの減速度は3.2km/h/sで一定であり、制動開始から停止までの時間は( 3 )秒である。よって、A駅出発からB駅到着までにかかった時間は( 4 )秒、A駅とB駅間の距離は( 5 )mである。

時間・加速度・速度・距離の関係式

この手の問題を解くときは、時間t・加速度a・速度v・距離Lの基本的な関係式を知っておくと便利です。だいたい使う式は3つです。単位はメートル(m)と秒(s)を基本にします。

  1. 加速度と速度と時間の関係式
    • v = a・t + v0 ………(1)
    • v:速度(m/s) a:加速度(m/s2) t:時間(s) v0:初速度(m/s)
    • 初速度v0で加速度aでt秒間走行したときの速度vを求める式。
    • この式に限り、速度はkm/h・加速度はkm/h/sでも可。
  2. 距離と加速度と時間の関係式
    • L = 1/2・a・t2 + v0・t ………(2)
    • L:距離(m) a:加速度(m/s2) t:時間(s) v0:初速度(m/s)
    • 初速度v0で加速度aでt秒間走行したときの距離Lを求める式。
    • 式(1)を時間tで積分すると得られる。
  3. 距離と速度と加速度の関係式
    • v2 - v02 = 2・a・L ………(3)
    • v:速度(m/s) v0:初速度(m/s) a:加速度(m/s2) L:距離(m)
    • 初速度v0・速度v0に加速度aで変化するとき、その間に走行する距離Lとの関係式。

では、順に見ていきましょう。

起動から力行、惰行まで

列車は、A駅から一定加速度2km/h/sで加速し、1kmの地点で惰行運転に入る。惰行運転開始時の列車の速度は( 1 )km/hである。

わかっているのは加速度a=2km/h/sと距離L=1km。さらに駅を発車しているわけですから、初速度v0=0であることもわかっています。こんな場合は、式(3)が便利です。

  • v2 - v02 = 2・a・L …(3)

条件の数値の単位をメートル(m)と秒(s)に直します。km/hをm/sに直すには3.6で割ります。

  • v0 = 0 m/s
  • a = 2 km/h/s = 2000m / 3600s / s = 2/3.6 m/s2
  • L = 1 km = 1000m

この値を式(3)に代入して、Vを求めます。

  • v2 - 02 = 2×2/3.6×1000
  • v = √(2×2/3.6×1000)
  • v = 33.33 m/s = 33.33×3.6 km/h
    = 120 km/h

( 1 )の正答は120(km/h)となりましたv(。・ω・。)ィェィ♪
しかし、1km走って120km/hとはすごい加速性能です^^;

惰行

1kmの地点で2kmの地点まで惰行中、列車は一定速度を保って走行しており、惰行中の時間経過は( 2 )秒である。

列車が加速をやめ、惰性で走ることを惰行と言います。鉄道は走行抵抗が小さいので、おおむね等速度運動となります。このときの、速度と時間・距離の関係式は、

  • L = v・t

です。式(2)の加速度aを0にするとこの式になります。速度v(m/s)でt(s)走行すると、走行距離はL(m)。速さ×時間=距離、小学生レベルですけどね^^; これも単位を直した上で条件を入れてみましょう。

  • v = 120 km/h = 120/3.6 m/s
  • L = 2 km - 1 km = 1000m

さきほどの式に代入し、式を変形してtを求めます。

  • 1000 = 120/3.6・t
  • t = 1000/(120/3.6) = 30 s

( 2 )の正答は30(秒)となりました。

制動から停止まで

2kmの地点で、B駅に入場するため制動をかける。停止までの減速度は3.2km/h/sで一定であり、制動開始から停止までの時間は( 3 )秒である。

一定加速度(減速度)で制動をかけるとき、停止までにかかる時間を求める問題です。この場合は、式(1)を使います。

  • v = a・t + v0 ………(1)

初速度v0=120km/h、減速度a=-3.2km/h/s、vを停止時の速度0を代入して、t(s)を求めます。上にも書きましたがこの式に限り、単位はkm/hが混在していてもだいじょうぶです。

  • 0 = -3.2t + 120
  • 3.2t = 120
  • t = 120/3.2 = 37.5 s

( 3 )の正答は37.5(秒)となりました。

A駅からB駅までのトータル

よって、A駅出発からB駅到着までにかかった時間は( 4 )秒、A駅とB駅間の距離は( 5 )mである。

A駅からB駅まで
走行モード 時間(s) 加速度
(km/h/s)
距離(m)
力行 A 2.0 1000
惰行 30 0.0 1000
制動 37.5 -3.2 B

問題文には「よって」とありますが、表に示すとおり、まだ力行時にかかった時間Aと、制動時の距離Bはまだ求めていません。そこで、この二つの値を求めて、時間・距離それぞれの合計を算出します。

まず、力行時にかかった時間ですが、式(1)を使えば簡単に出ます。速度v=120km/h, 加速度2.0km/h/s,初速度v0=0ですから、代入すると120=2.0t。t=120/2.0でA=60秒となります。

次に制動時の距離です。式(2)でも式(3)でも算出できますし、制動時の平均速度がvm=60km/hだと気付けば、単純に時間37.5秒をかけて、60/3.6(m/s)×37.5(s)からB=625mと求めることもできます。

この結果から、以下の解答が得られます。

  • ( 4 ) = 60 + 30 + 37.5 = 127.5(秒)
  • ( 5 ) = 1000 + 1000 + 625 = 2625(m)

いかがでしたでしょうか。「目がチカチカする」という方もあれば、「こんなの式を書くまでもないだろ」とおっしゃる方もあるかもしれません。また、「120km/hまで加速度一定なんて新幹線じゃあるまいし」との感想を持つ方もあるでしょう。機会があれば、走行抵抗や加速曲線、勾配を上るのに必要な出力なんかの問題も取り上げてみたいと思います。ではでは。

2012年10月24日

前回の鉄道設計技士に挑戦 問題編は、みなさん、できましたでしょうか?では、解答編といきましょう。

なお、この問題に関しては、正答しか載っておらず、解説がありませんでしたので、私の勝手な解説を付けてあります(笑)。

直流モーターの制御

  1. 鉄道車両を電気で駆動する方式が実用化されて以来、主電動機には速度制御が容易な直流電動機が使用されてきた。その速度制御は、抵抗の短絡や電動機の直・並列制御などにより行われる。

正解はです。

モーター(電動機)は、発電機と基本構造が同じなので、モーターを回すと発電する作用が現れます。これはモーターにかけた電圧と逆方向に生じるので、逆起電力と呼びます。つまり、モーターを回すと、モーター内部では「モーターを回すまい」とする力が出てくるんですね。

この逆起電力は回転速度に比例します。つまり、速度が低いときは小さいけれど、速度が上がるにしたがって大きくなっていきます。逆起電力が大きくなると、電流が流れにくくなり、モーターのトルク(力)が落ちます。トルクを落とさないようにするためには、逆起電力に負けないだけの電圧をかけてやる必要があり、このため電動機には速度に応じて電圧を上げる仕組みが必要となるんですね。

そのもっとも簡単な方法が、抵抗器を電動機と直列に並べ、速度に応じて抵抗を短絡していくことで、モーターの電圧を制御する抵抗制御や、モーターの直列・並列を切り換える直並列制御になります。

現在はインバータによる交流モーター制御が一般的ですが、直流モーターを抵抗制御する方法は長らく続きました。

直流モーターのチョッパ制御

  1. チョッパ制御は、架線からの直流電流を半導体素子により高速でオン・オフし、そのオンとオフの時間を制御することによで平均としてモータに流れる交流電流の大きさを変える制御方式である。

正解は×です。

電力変換装置のいろいろ
変換装置 入力 出力
チョッパ装置
DC-DCコンバータ
直流 直流
位相制御
サイリスタブリッジ
交流 直流/
交流
インバータ 直流 交流
コンバータ 交流 直流

いわゆる電機子チョッパ制御に関する問題です。1番の解説で書いたとおり、モーターの制御には速度に応じて電圧を変える仕組みが必要です。チョッパ制御は、直流電流を高速でスイッチオン・オフし、オンの時間の長さにより平均電圧を制御するPWM制御。電圧を無段階で制御できることから、乗り心地もよく、空転を起こしにくい制御方法です。

さて、問題文で誤っているのは「モーターに流れる交流電流」という箇所。チョッパ制御は、直流電流を入力し、直流電流を出力します。モーターに流れるのは直流電流です。

インバータ制御

  1. インバータ制御は、架線からの電力を、インバータ装置の半導体スイッチを組み合わせてオン・オフすることで、三相交流の電圧と周波数を制御し、交流モータを回転させる速度制御方式である。

正解はです。

インバータ制御は、保守が容易で小型・高出力の交流モーターを、速度が変化する電車の制御に応用した方法です。

交流モーター、とりわけ三相かご形誘導電動機は、構造がきわめてシンプル。固定子に三相交流を流すと、回転子に誘導電流が勝手に生じるので、回転子に電気を送るブラシや整流子が必要ありません。このため、小型化・高速化が可能で、メンテナンスも楽ちんです。

しかし、交流モーターを制御するには、電圧だけでなく、速度に応じた周波数の制御も必要でした。昔はこんな方法はなかったので、三相かご形が使えなかったんですね。ところが、パワーエレクトロニクスの発展により、電圧だけでなく周波数も自由に変えられるインバータが開発され、交流モーターも使えるようになりました。

インバータの仕組みは、問題文にあるとおり。基本はチョッパと同じPWM制御です。これを三相分用意し、交流を作るため電流の流れる方向も反転できるスイッチング回路となっています。

インバータ制御による交流電気車

  1. 交流電車、直流電車ともに交流電動機を使用した電車があるが、交流電車は、架線の交流を変圧器で変圧し、そのままインバータにより電動機を制御するので、架線の直流を交流に変換する直流電車よりも主回路機器が少ない。

正解は×です。

一見正しいように見えますが、架線を流れる交流は単相交流で周波数も50Hzまたは60Hzと固定です。一方、モーターが必要とするのは、三相交流で、速度に応じ電圧と周波数が変わる電流なんですね。これは、交流とはいっても、まったくの別物です。

さらに、三相交流を出力するインバータの入力電源は直流であることが求められます。このため、インバータによる交流電気車は

  • 架線(単相交流)→ [変圧器・コンバータ] →(直流)→ [インバータ] →(三相交流)→ [モーター]

このようにインバータに入る前に、コンバータで交流を直流に直してやる必要があります。また、交流電化の電圧は一般に高いので、変圧器で適正な電圧にいったん落とします。したがって、主回路機器は直流車に比べて多くなります。

直流モーターの時代には、交流電気車も変圧器のタップ制御や連続位相制御など、交流にしかできない電圧制御を行っていました。しかし、インバータ車の場合はあくまで直流車がベースで、交流電車と言っても、構造自体は交直流電車に近いんですね。

なお、交流を直接変換するサイクロコンバータなるものもありますが、周波数の制御範囲に制約があり、速度制御範囲の広い電車には不向きです。

空転と滑走

  1. VVVFインバータ装置では、直流モータで行っている主抵抗器の抵抗値を変える方式よりも、車輪の空転や滑走が発生しにくいという特徴がある。

正解はです。理由は大きく分けて二つ。

一つは、抵抗制御の電圧制御は、段階制御であるということ。抵抗の短絡時にはどうしても電流の急変・トルクの急変が起こります。これに対し、インバータ制御は電圧・周波数の制御が無段階で連続的です。このため、粘着力いっぱいのトルクを出しながら速度を上げていくことが可能です。

もうひとつの理由は、空転が起こったときの挙動です。インバータ制御では、モーターが空転を起こしても、そのモーターのトルクが低下しすぐに再粘着する優れた特性があるんですね。

誘導モーターのトルクは、モーターの回転数と周波数の差、すべりに依存します。モーターが回る速度より、流す電流の周波数を少し早くしてあるんですね。この差をすべりと言いますが、すべりによって回転子に誘導電流が流れて、誘導モーターはトルクは出るというわけです。誘導モーターが空転するとすべりが小さくなりますから、回転子の誘導電流が減ってトルクが小さくなります。トルクが小さくなれば、空転はすぐに収まるというわけです。

一方の直流モーターはそういう特性がないのかと言えば、そうではありません。直流モーターも回転数が上がると逆起電力が増加して、電流が減りトルクが低下します。ですから、モーターそのものは空転が収まりやすい特性を持っています。問題は、抵抗制御であることです。

抵抗制御は、モーターと抵抗器を直列につなぎます。起動時はモーター同士も直列につながっています。ここで一つのモーターが空転したとします。空転したモーターは逆起電力が増加して、見かけの抵抗値が増加します。もし、モーターが並列なら、抵抗が大きくなったモーターは電流が減るのですが、直列の場合は逆です。抵抗値の上がったモーターに電圧がたくさんかかり、電流も減りません。結果、トルクが低下しないので、モーターの空転は収まらないことになるんですね。

というわけで、空転を起こしやすい原因は直列回路であることです。直流モーターを使っていても、交流電気機関車はモーターが並列ですので、大空転を起こしにくい特性を持っています。


長くなりましたので、2問目は次回にしますね。

2012年10月18日

業界誌を読んでいたら、鉄道設計技士試験の演習問題が載っていました。土木系の試験なのですが、こんな問題もあるんですね。みなさんもよかったら、回答してみてください。

1問目は電気車の制御に関する問題です。

次の文章は電気車の制御について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述には×を回答欄に記入しなさい。

  1. 鉄道車両を電気で駆動する方式が実用化されて以来、主電動機には速度制御が容易な直流電動機が使用されてきた。その速度制御は、抵抗の短絡や電動機の直・並列制御などにより行われる。
  2. チョッパ制御は、架線からの直流電流を半導体素子により高速でオン・オフし、そのオンとオフの時間を制御することによで平均としてモータに流れる交流電流の大きさを変える制御方式である。
  3. インバータ制御は、架線からの電力を、インバータ装置の半導体スイッチを組み合わせてオン・オフすることで、三相交流の電圧と周波数を制御し、交流モータを回転させる速度制御方式である。
  4. 交流電車、直流電車ともに交流電動機を使用した電車があるが、交流電車は、架線の交流を変圧器で変圧し、そのままインバータにより電動機を制御するので、架線の直流を交流に変換する直流電車よりも主回路機器が少ない。
  5. VVVFインバータ装置では、直流モータで行っている主抵抗器の抵抗値を変える方式よりも、車輪の空転や滑走が発生しにくいという特徴がある。

どうでしょう。マニアでも解けそうな問題ですよね(笑)

続いては、運転曲線に関する問題です。

次の文章はA駅とB駅の運転曲線について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な数値を回答欄に記入しなさい。なお、制動開始時の空走時間は考えないものとする。また、解答の数値に小数第2位以下がある場合は、小数第2位を四捨五入して小数第1位で解答しなさい。

列車は、A駅から一定加速度2km/h/sで加速し、1kmの地点で惰行運転に入る。惰行運転開始時の列車の速度は( 1 )km/hである。1kmの地点で2kmの地点まで惰行中、列車は一定速度を保って走行しており、惰行中の時間経過は( 2 )秒である。2kmの地点で、B駅に入場するため制動をかける。停止までの減速度は3.2km/h/sで一定であり、制動開始から停止までの時間は( 3 )秒である。よって、A駅出発からB駅到着までにかかった時間は( 4 )秒、A駅とB駅間の距離は( 5 )mである。

マニアにもおなじみの単位や言葉が出てきています。中学か高校初等レベルの物理の知識が必要ですが、これもやってみてください。解答は次回にお届けします。

Wirtten byyj2
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