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帰ってきたyokeのブログ。JR東海運用情報の更新情報も兼ねています。
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2013年02月02日

3月に迫ったJRのダイヤ改正。改正後は関連記事が集中することになりますので、いまのうちに鉄道設計技士試験のやり残しを書いておきます(笑)。

前回は、アノ車両の抑速ブレーキに関する問題と題して、213系5000番台に似た条件の車両が、下り勾配で抑速回生ブレーキを使うときの設問を解説しました。今回はその設問の続きです。

問40(続き)

電車が20‰の勾配を下りきり、平坦区間に入った直後に、抑速回生ブレーキ時の5倍の回生ブレーキ力で一定ブレーキ力のまま減速を続けた。

  1. 電車が速度72 km/h から7.2 km/h まで減速するまでに( [2] )秒を要した。
  2. 速度7.2 km/h に達した瞬間の架線電圧は1,500 V に低下しており、ここで空気ブレーキに切り替わった。この間、回生ブレーキ力は一定であったとすると、平坦区間における回生エネルギー量は( [3] ) MJである。
  3. 速度7.2 km/hに達した時の架線への回生電流は( [4] ) Aである。
  4. 平坦区間で回生ブレーキが動作した間の平均回生パワーは( [5] ) kW である。このことから、ブレーキ時のエネルギーを発電抵抗や制輪子摩擦で最終的に熱として処理する場合に比べると、回生ブレーキの有効性がよくわかる。

前回は下り勾配の抑速回生ブレーキの問題でしたが、今回は平坦区間における回生ブレーキの問題です。車両の質量や諸々の走行抵抗を無視することなど条件は前回と同じ。

回生ブレーキで減速

例によって、図は私のオリジナルです。

前回の問題は、213系電車によく似ていると言いましたが、今回はちょっと条件が異なります。前回の抑速ブレーキは、M車(電動車)がT車(付随車)のブレーキ力も負担し、これは213系も同じです。しかし、通常ブレーキとなると、213系の回生ブレーキはM車分のみしか負担せず、T車は別途空気ブレーキを使います。

また、界磁添加励磁制御の213系は、速度が25km/h程度で回生ブレーキが失効します。したがって、問題にあるような7.2 km/h まで回生ブレーキのみで減速するケースは、我らが213系とはだいぶ条件が違います。

減速にかかる時間を求める

では、順に解いていきましょう。

設問の2番目は、前回の抑速回生ブレーキ時の5倍のブレーキ力(一定)を平坦区間でかけたとき、72km/hから7.2km/hまで減速するまでの時間を求める問題。ここで抑速回生ブレーキ時の回生ブレーキ力は、前回の解説で示した 13.2kN です。

まず、ブレーキ力F(kN)は13.2kNの5倍ですから、F = 13.2 × 5 = 66.0 kNです。このブレーキ力と車両の質量m(= 38t+28t = 66t)から、ブレーキの加速度(減速度)a (m/s2)を求めます。減速度ですから符号は負にしておきます。

  • F = ma
  • a = F/m
  • a = -66.0 / 66
  • = -1.0 m/s2 = -3.6 km/h/s

運動方程式(力 = 質量×加速度)を変形して、加速度(減速度)を求めただけです。最後に単位をm/s2から3.6をかけてkm/h/sに直していますが、m/s2のままでもかまいません。その場合は、速度をm/sに直すことになります。

次に時間を求めましょう。一定加速度aで減速するとき、時間tと初速度v0が速度vの関係は以下の式になります。速度の差(v-v0)は、加速度aに時間tを掛けたものに等しい、これを式にしただけです。

  • v - v0 = at
  • t = (v - v0) / a
  • t = (7.2km/h - 72km/h) / (-3.6km/h/s)
  • t = 18 s

したがって、設問2の回答は 18秒となりました。

回生エネルギー量を求める

次に、この間に回生ブレーキで得られた全エネルギー量を求めます。いろんな出し方があるのですが、今回は走行抵抗を無視していますので、減速に使われたエネルギーは回生電力量に等しくなっています。ですから、減速前と減速後の運動エネルギーの差を求めるのが簡単でしょうね。

運動エネルギーK(kJ)は、質量m(t)に速度v(m/s)の2乗を掛け、さらに半分にしたものに等しくなります。

  • K = 1/2・m・v2

では、初速度v0=72km/hのとき、速度v=7.2km/hのときの運動エネルギーの差ΔK(MJ)を求めてみましょう。J(ジュール)で求めるとき単位はメートルと秒を使いますので、速度はkm/hを3.6で割ってm/sに直します。

  • ΔK = 1/2・m(v02 - v2
  • = 1/2×66×{(72/3.6)2 - (7.2/3.6)2}
  • = 1/2×66×(202 - 2.02)
  • = 13068 kJ
  • = 13.068 MJ

質量がt(トン)の場合、出てくる値はkJ(キロジュール)ですので、MJ(メガジュール)に直すため、最後に1000で割っています。さらにこの問題は、小数点以下を四捨五入して求めることになっていますので、13 MJが正答となります。

7.2km/hに減速したときの回生電流

この設問は、前回の抑速回生ブレーキ時の回生電流を求めた方法が使えます。つまり、前回と同様にブレーキ出力を求め、それを架線電圧で割ってやれば求まるんですね。

前回解説したとおり、ブレーキ出力P(kW)は力と速度を掛けたものになります。これにブレーキ力F(=66.0kN)、速度v(=7.2km/h/3.6 = 2.0m/s)を代入してやりましょう。

  • P = F・v
  • = 66.0×2.0
  • = 132 kW

求めたブレーキ出力Pを架線電圧E(=1500V=1.5kV)で割ってやると、回生電力I(A)が得られます。

  • I = P / E
  • = 132kW / 1.5kV
  • = 88 A

設問4の解答は、88Aとなりました。

平均回生パワー

最後の設問は平均回生パワー。つまり、平均回生出力です。ブレーキ出力はブレーキ力に速度を掛けたものですから、ブレーキ力が一定でも速度によって変化します。速度が高ければ大きく、速度が低ければ小さくなるので、平均というわけですね。

出力は、単位時間あたりの仕事量(=エネルギーの変化量)です。したがって、平均回生パワーPm(kW)を求めるには、設問3で求めた回生エネルギー量ΔK(=13068kJ)を、設問2で求めた減速にかかる時間t(=18秒)で割ってやれば良いんですね。

  • Pm = ΔK / t
  • = 13,068 / 18
  • = 726 kW

ってことで、解答は726kWとなりました。余談になりますが、この出力をモーター1個あたりに換算すると181kW。さらに初速度72km/hで計算すると、モーター1個あたり330kWにも及びます。このように力行時に比べ、ブレーキ時のモーター出力はかなり大きくなるんですね。


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