1月末現在のATS-PT使用開始状況、前回の中央線編に引き続き、今回は関西線と東海道線です。
関西線の平成22年度ATS-PT整備区間は、名古屋~河原田間。昨年6月下旬に八田~桑名間のPT設置工事が完了し、貨物列車がPTの使用を開始。その後、河原田までPT区間が延伸され、今年度の予定をほぼ完了したことから、1月から八田~河原田間で旅客列車のATS-PT使用を一部開始しています(下図)。
1月末現在のATS-P⇔S切り替え箇所は、河原田~河曲間と、名古屋駅構内の整備が完了していないことから八田~春田間(新川橋梁付近)にも設けられています。また、河原田駅構内で分岐する伊勢鉄道はATS-PTの設置を行なわないので、伊勢鉄道の下り線は関西線と分岐直後にP→Sの標識が、上り線は関西線と合流した直後にS→Pの標識が立っています。
現在、ATS-PT使用開始している旅客列車の車両は、神領区所属の313系電車(3000番台・1600番台・1300番台)と名古屋区のキハ75形気動車で、いずれも一部の編成のみです。
東海道線は平成22年度に米原~熱海間および大垣~美濃赤坂線の全線にATS-PTを整備する計画です。1月末現在では、名古屋~大垣間の工事が完了していないので、旅客列車のATS-PT使用は一部区間に限れています。
まず、名古屋~豊橋間を見てみましょう。下図の青い線がATS-PT設置工事が完了した箇所です。
この区間はおおむねATS-PT設置工事が完了しています。昨年8月ごろまでに豊橋~幸田付近の工事が完了し、貨物列車でPTの使用を開始。9月ごろには西岡崎付近まで使用範囲を拡大しています。さらに今年1月に入ると、尾頭橋付近まで延伸し、ほぼ設置工事が完了しました。
しかし、東海道線の旅客列車は名古屋駅を超えて大垣方面(PT工事未完成)へ直通するため、旅客列車のATS-PT本格使用はまだ開始されていません。ただし、武豊線へ直通する列車は名古屋で折返しとなるため、名古屋~大府間に限り、旅客列車のATS-PT使用を開始しています。車両はもちろんキハ75形です。
ところで、上の図を見てわかるとおり、笠寺の前後にS→Pの切り替え標識が立っています。笠寺駅には貨物列車の発着線がありますが、ここはPTの設置範囲外らしく旧来のST形(SF形)で防護しているようです。構内の発着線付近にはP→Sの標識も見られます。
こちらは、昨年9月ごろに醒ヶ井~関ヶ原までのATS-PTが整備され、1月現在で大垣まで延伸されています(下図)。残りの大垣から名古屋までの工事が完了すれば、旅客列車の使用も始まるものと思います。
私の知る限り、この区間でPTの使用を開始している旅客列車はまだありません。ただし、383系の一部編成がATS-PT使用を開始していることから、大阪発着の「しなの」が醒ヶ井~大垣間でPTの使用を開始している可能性があります。
ところで、岐阜貨物ターミナル付近で、黒いカバーのかかった標識を見かけました。もちろん何が書いてあるかはわかりませんが、先ほどの笠寺と同様、S→Pの切り替え標識ではないかと思われます。カバーがかかっているとはいえ、標識も設置されていますから、大垣~名古屋間のPT工事も近々完了するんでしょうね。
1月末現在の、関西線・東海道線でPT使用開始編成は以下のとおりです。神領区の313系と名古屋車両区のキハ75の一部編成です。なお、383系の使用開始編成については、中央線編をごらんください。
形式 | 313系(神領区) | キハ75形 (名古屋区) |
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番台区分 | 1500 1600 |
3000 | 1300 | |
編成両数 | 3両編成 | 2両編成 | 2両編成 | 2両編成 |
運用路線 | 中央線 関西線 |
中央線 関西線 |
中央線 関西線 |
関西線 東海道線 |
全編成数 | 7編成 | 16編成 | 4編成 | 20編成 |
ATS-PT 使用開始 確認編成数 |
1編成 | 2編成 | 1編成 | 4編成 |
備考 (編成番号) |
B104 | B304 B307 |
B404 | 1+101 3+103 207+307 208+308 |