名古屋市や名鉄は、manacaのサイトをオープンさせました。細かく読んでみると、両者にはmanacaの取り扱いには、若干の差があるようです。たとえば、manaca対応券売機は、地下鉄にあるものと、名鉄にあるものでは機能が違います。以下に対応の差をまとめてみました。なお、参考までにJR東海のTOICAも比較してみます。
取り扱い項目 | 名古屋市交通局 地下鉄・市バス |
名古屋鉄道 名鉄電車 名鉄バス |
JR東海 (参考) (TOICA) |
|
---|---|---|---|---|
manaca 対応券売機で できること |
チャージ | 可能 | 可能 | (可能/TOICA) |
無記名式 manaca購入 |
可能 | 可能 | (可能/TOICA) | |
記名式 manaca購入 |
可能 | 不可 | ※非定期の 記名式なし |
|
manaca定期券 新規購入 |
可能 (通学定期不可) |
不可 | 不可 | |
manaca定期券 継続購入 |
可能※ (通学定期も可) |
不可 | (可能/TOICA) | |
磁気定期券からの 発行替え |
不可 | 不可 | (可能/TOICA) | マイレージポイント のチャージ |
可能 | 可能 | - |
バス車内で できること |
チャージ | 可能 | 可能 | - |
無記名式 manaca購入 |
可能 | 不可 | - | マイレージポイント のチャージ |
不可 | 不可 | - |
※不可の項目は窓口で行ないます。
※いずれも大人用manacaのみ。
※地下鉄の券売機で他社線連絡定期の継続購入には制限あり(追記参照)。
※TOICAの記名式は定期券しかありません。
さて、券売機にえらく機能の差があることがわかります。地下鉄にある券売機は、磁気定期券からの発行替えこそできないものの、市バスの通勤定期や他社線(名鉄など)との連絡定期も券売機で購入できる多機能ぶりです。
一方で、名鉄の券売機は定期にかかわることは何もできません。ICカード乗車券を購入する動機として「定期券が券売機で簡単に買えるから・券売機で継続購入できるから」を挙げる人も多いのですが、名鉄ではいずれもできないので、窓口に並ぶことになります。JR東海のTOICA対応券売機と比べても見劣りしますね。名鉄は無人駅にも券売機や自動改札を導入していますので、多機能化にはコストの問題があったということでしょうか。
マイレージポイントはいったんセンターに溜まり、翌月の10日以降にmanacaに移し替え(チャージ)を行います。この操作は地下鉄・名鉄の券売機でともに可能ですが、市バス・名鉄バスの車内ではともにできないようです。バスしか使わない人にはちょっと不便ですね。
また、地下鉄の券売機は、名鉄など他社線との連絡定期の購入もできますが、継続購入は交通局で買った定期に限ります。名鉄で購入した連絡定期は、地下鉄の券売機で継続購入できないのでご注意ください。
導入が近づいているmanaca。前回は基本機能についてお話ししましたが、今回は使用上の注意点などを。
manacaはカードの残高(チャージ)で使います。このチャージした金額、あるいはmanacaを買ったときにチャージされている金額を定期代にすることはできません。名古屋市交通局では10,000円のmanacaも売っていますが、「定期代にちょうどいい!」とか言って買っちゃわないように注意しましょう^^;
また、manacaは「マイレージポイント」と呼ばれるポイント還元があります。トランパスにあった「おまけ」(たとえば5000円を買うと5600円使える)の替わりのシステムとして用意されたものです。ですから、もともと「おまけ」の関係ない定期券にマイレージポイントは付きません。
いまのところmanacaはJRで利用できません。また、JRの電子マネー乗車券「TOICA」も名鉄で使うことはできません。となると問題になるのが、JRの改札を間借りしている豊橋駅・弥富駅です。この両駅に関しては、manacaでJRの改札を出ることができます。
ただし、そのままJRに乗り換えることはできません。豊橋・弥富駅までmanacaで名鉄電車を利用し、その後JRに乗換える場合、いったんmanacaを精算するために改札までタッチしに行く必要があります。
金山駅にはJRとの連絡改札がありますが、名鉄でmanaca、JRをTOICAといった2枚のICカードを使う通り方はできません。manacaとTOICAの両方を使いたい人は乗換改札ではなく、通常の改札を通る必要があります。あるいは、manacaかTOICAどちらかに絞って、もう片方は磁気券で乗換改札を通ります。
また、名鉄名古屋駅には近鉄との乗換改札もありますが、ここも同様です。近鉄ではPiTaPaやICOCAが使えますが、manacaと組み合わせて通ることはできません。
一度manacaに発行替えした定期券を、磁気券に戻すことはできないので、乗換改札を使っている人はmanaca定期券にする前に一考の余地ありです。
manacaには交通利用のほかに、manaca加盟店で買い物ができる電子マネー機能があります。ちょうど「おサイフケータイ」や「Edy」のように使えるわけですね。manacaには2種類の発行元があって、電子マネーとして使う場合は違いがあります。下の表をごらんください。
発行会社 | エムアイシー | 名古屋交通 開発機構 |
---|---|---|
購入場所 | 名鉄電車 名鉄バス 豊橋鉄道 |
地下鉄・市バス あおなみ線 ゆとりーとライン |
マイレージ ポイント |
利用可 | 利用可 |
加盟店での 電子マネー利用 |
利用可 | 利用可 |
電子マネーポイント たまルン |
利用可 | 利用不可 |
つまり、購入場所によって異なる会社のmanacaが発行されるわけです。違うと言っても、交通利用に違いはなく、マイレージポイントも相互に溜められ、利用も可能です。異なるのはmanaca加盟店で買い物をしたときにつくポイント「たまルン」の有無です。こちらは名鉄系の発行会社エムアイシーのmanacaでないと、「たまルン」への入会ができません。
さて、この「たまルン」、まだポイント付与率なども明らかになっていませんが、ちょっとシステムはアナログなんですね。以下は名鉄のサイトの抜粋です。
- 会員IDを・パスワードを入力して会員サイトへログイン
- 登録してある「たまルン」ポイント残高を確認
- 発行したい「たまルン」チャージ券の枚数を入力して申請
- 「たまルン」チャージ券が郵送で到着
- 名鉄の取扱窓口へ「たまルン」チャージ券とmanacaを渡してチャージ
基本システムはSuicaなどと共通ですから、拡張に限界があったんでしょうが、…電子マネーと言いつつ、ポイントを使うために、郵送、窓口へ申請って、なかなかのアナログ感覚です^^;
「manaca オートチャージ」で検索して来られる人が多いので、追記しておきますが、manacaにオートチャージ機能はありません。オートチャージとは、クレジットカードなどと組合せて、チャージ残高が少なくなると、自動的にカード口座から引き落としてチャージする仕組みです。SuicaやPASMO、PiTaPaなどで搭載できる機能です。また、方式は若干違いますが、ICOCAにもキャッシュレスでチャージできるSMART ICOCAがあります。
manacaは現在のところ、このような仕組みはありません。
新聞報道などによりますと、名古屋市や名鉄などで2月11日から導入される電子マネー乗車券manacaに関する問い合わせが殺到しているそうです。
東海地方ではJR東海のTOICAがすでにあるのですが、JRを日頃利用しない人は「はじめての電子マネー乗車券」となることも多いでしょう。さらに、既存のSFカードであるトランパスや回数券が廃止となること、その見返りとして導入されるマイレージポイント制度がややこしいことなど、TOICAやSuicaとは違った複雑さがあり、利用者を混乱させているようです。
まず、単純な比較をしてみました。違いがよくわからない、何が変わるかわからないという方は、ざっくりこの表に目を通してみてください。
トランパス (ユリカ) (SFパノラマカード) |
manaca | |
カードの種類 | 磁気券 | ICカード |
利用形態 | 使い捨て | 繰り返し使用 |
自動改札での利用 | 改札機に投入 | 改札機にタッチ |
支払い方法 | プリペイド方式 | |
デポジット | 不要 | 要 500円 |
おまけ(プレミアム) | あり | なし |
マイレージポイント | なし | あり |
販売額 (利用可能額) |
1000 (1000) 2000 (2200) 3000 (3300) 5000 (5600) |
1000 (500) 2000 (1500) 3000 (2500) 5000 (4500) 10000 (9500) 500 (定期券のみ) |
残高が少なくなったら… | 積み増し | チャージ(入金) |
定期券の組込 | 不可 | 可能 |
紛失時の再発行 | 不可 | 可能 (記名式・定期券) |
お買い物 | 不可 | 可能 (一部の店舗) |
どうでしょう?「デポジット」などの聞き慣れない言葉や、販売額と利用額の関係に「え?」と思われた方もいると思います。では、そんな疑問にお答えしていきましょう。
TOICAやSuicaをお持ちの方には当たり前のことも多いと思いますが、manacaの基本について説明します。なお、manacaには小児用、割引用(障害者用)もありますが、ここでは大人用について説明します。
manacaはチャージして使うのが原則ですが、manaca定期券は必ずしもそうではありません。定期券としてだけ使うなら、チャージはなくてもかまいません。無記名式のmanacaは2000円(または1000円)しますが、最初からmanaca定期にすれば、定期代+デポジット(500円)だけで購入できます。もちろんチャージしておけば定期区間外の乗車にも使えますし、乗り越し精算も自動で行えますから、チャージしておくのも有効です。
さて、manaca定期券を持つにはいろんな方法があり、比較的自由です。
地下鉄のmanaca定期券は、1番・2番もmanaca対応券売機で可能です。これまで地下鉄の定期は買える駅が限られていましたが、manaca対応券売機は地下鉄全駅に設置予定です。もちろん継続購入もmanaca対応券売機で可能です。なお、通学定期券は在学証明が必要なので、最初だけ窓口等での購入になりますが、継続購入は券売機で可能です。
また、定期代はチャージとは別に払います。チャージは定期代には充てられないので、注意しましょう。
manacaにはトランパスにあった「おまけ」がありません。5000円チャージしても、トランパスのように5600円にはならないのです。そのかわりに、マイレージポイントという仕組みがあります。これは1ヶ月の利用額に応じて、ポイント還元があり、電車やバスの利用に使えるという仕組みです。
ここのところ、ATS-PTのネタばかりで恐縮ですが、これまで中央線・関西線で、旅客列車のATS-PT使用開始をお伝えしてきました。
さらに、東海道線でも旅客列車の一部でATS-PT使用開始との情報がありましたので、お知らせします。
これまで東海道線の名古屋近郊はATS-PTの工事が未完了だったのですが、昨日尾頭橋付近に以下の標識があるのを確認しました。
下り線 | 上り線 |
また、キハ75の何本かがATS-PT使用開始扱いになっており、お寄せいただいた情報によれば、大府までATS-PTを使用していたとのことです。私の知る限りの情報ですと、まだ東海道線(名古屋地区)の電車に使用開始編成があるとは聞いていませんので、旅客列車での使用開始区間は尾頭橋~大府間ということになるでしょうか。
以下の図は、東海道線名古屋~豊橋のATS-PT整備状況です。
正確な時期は不明ですが、昨年8月ごろ豊橋付近から幸田付近まで整備され、貨物列車のATS-PT使用が始まっています。9月に入ると、岡崎を超えて西岡崎付近までPT使用区間が延伸されています。これは2011年の年明け直後まで同じ状況でした。
今回、旅客列車の使用開始とともに、尾頭橋付近にまで使用区間が延伸されたわけですが、大府~岡崎間の状況はまだ未確認です。岡崎と西岡崎の間にあるATS切り替え標識がなくなっていれば、尾頭橋~豊橋間のATS-PT整備が完了したことになります。情報をお持ちの方があれば、お寄せくださいませ。
中央線はいち早く貨物列車のATS-PTを開始し、旅客列車の使用開始も早かった路線です。すでに313系を中心にATS-PTが一部の旅客列車で使用が始まって2週間ほどになります。以下は中央線におけるATS-PT整備状況です。
中央線のATS-PTは、昨年4月下旬に山王信号場~新守山間で貨物列車の使用が始まりました。6月ごろになると、新守山付近にあったATS切り替え標識がなくなり、高蔵寺付近の上り線に「S→P」の標識が立ちました。私はてっきり、高蔵寺まで伸びたのだと思っていましたが、気になったのは高蔵寺付近の下り線に「P→S」を示す標識がないことでした。
その後、今年1月12日ごろから旅客列車でもPTの使用が開始されましたが、中津川でもPTを使用しており、落合川との間にATS切り替え標識が立っているとの情報をいただきました。しかし、高蔵寺の上り線には「S→P」がまだ立っています。どうやら、この標識は愛知環状鉄道線からの直通列車のためのものであり、昨年6月には中津川まですでに延長されていたと見るのが正しいようです^^;
さて、東海道線のうち、米原方はどうなっているでしょうか。私の知る限りは、以下のとおりです。
昨年9月ごろに醒ヶ井から関ヶ原付近まで整備が完了し、貨物列車のPT使用が開始されています。その後の状況はよくわかっていません。
ATS-PTの使用開始の続報です。以下の記事でコメントをただいたほか、新たに開始編成が増えていますので、再度まとめてみます。
状況は以下のとおりです。
1月23日現在で確認されているATS-PT使用開始編成は以下のとおりです。211系5000番台はまだATS-PT使用開始編成が見あたりません。
形式 | 313系(神領車両区) | 383系 | キハ75形 | ||||
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番台区分 | 1000 1100 |
1500 1600 |
8500 | 3000 | 1300 | ||
編成両数 | 4両編成 | 3両編成 | 3両編成 | 2両編成 | 2両編成 | 4両編成 | 2両編成 |
運用路線 | 中央線 | 中央線 関西線 |
中央線 | 中央線 関西線 |
中央線 関西線 |
中央線 | 関西線 東海道線 |
全編成数 | 5編成 | 7編成 | 6編成 | 16編成 | 4編成 | 3編成 | 20編成 |
ATS-PT 使用開始 確認編成数 |
4編成 | 1編成 | 4編成 | 1編成 | 1編成 | 1編成 | 3編成 |
備考 (編成番号) |
B1 B2 B4 B5 |
B104 | B202 B204 B205 B206 |
B304 | B404 | A101 | 3+103 207+307 208+308 |
313系8500番台を除くと、どの形式・番台区分も1編成ずつが基本となっているようです。ATS-PTへの本格移行にあたって、様子を見ているところなのでしょう。
なお、313系1000番台は2編成が使用開始となっていますが、このうちB1編成は20日より運用をはずれており、211系による代走が行われています。おそらく定期的な検査入場と思われますが、このため1000番台も事実上1編成のみの使用開始となっています。また、キハ75は東海道線(名古屋・大府間)・武豊線でも使用されますが、この区間ではATS-PTの工事が完了していないので、ATS-STでの走行となります。
新たに313系1000/1100番台で、2編成の使用開始を確認しました。また、東海道線も尾頭橋以東でPTの使用を開始したとの情報もいただいています。詳細がわかり次第、ご報告します。
このほか、静岡地区でも一部列車でATS-PTの使用を開始しているようです。詳細は把握していませんが、211系5000番台が使用開始となっているとのことです。