3月17日予定のJR東海ダイヤ改正、この時刻が掲載された時刻表が発売になりました。119系の撤退、ワンマン運行の拡大、相見駅の開業などがおもなエポックですが、その他の路線はどうでしょうか。時刻表を全部見比べるのは大変なんですが、時刻表(交通新聞社)の誌面構成から比較しやすい中央線を見てみました。
中央線で変更が目立つのはラッシュ時です。公式発表では、ホームライナー太多の廃止または普通列車への振り替えのみでしたが、運転区間変更・種別変更・運転間隔の調整・所要時間の増加などが見られます。全般にダイヤに余裕を持つことを重点に置いているようです。
まず、平日の早朝に動きがあります。下りはさほどでもないのですが、上りは種別の変更や、運転区間の変更が見られます。種別の変更は朝の瑞浪発快速、これが普通になっています。
種別 | 列車番号 | 始発 | 行先 | |
---|---|---|---|---|
改正前 | 快速 | 2600M | 瑞浪 5:41 | 名古屋 6:30 |
改正後 | 普通 | 602M | 瑞浪 5:35 | 名古屋 6:30 |
そして、多治見発と高蔵寺発の普通列車が何本か入れ替わっています。前後の快速との関係で高蔵寺で待避する普通列車が増えていたり、多治見発の運転間隔がばらつくなど、ダイヤ自体は改正前の方が美しかったように思えます。このほか、一本が岐阜行きに変更されます。
改正前 | 改正後 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
列車番号 | 始発 | 名古屋着 | 列車番号 | 始発 | 名古屋着 | |
602M | 多治見 | 6:37 | 104M | 高蔵寺 | 6:37 | |
104M | 高蔵寺 | 6:46 | 604M | 多治見 | 6:46 | |
604M | 多治見 | 7:12 | 106M | 高蔵寺 | 7:10 | |
106M | 高蔵寺 | 7:21 | 606M | 多治見 | 7:21 | 岐阜行に変更 |
平日朝ラッシュのピークを見てみましょう。下表に改正前(左)と改正後(右)を並べてみました。名古屋着時刻のほか、春日井発時刻も並べています。
春日井発基準で見ると改正前の時刻は、快速がきれいに15分間隔。その間に2本の普通列車が走っているのがよくわかります。さらにラッシュの後半では、その間にホームライナー(HL)をねじ込んだダイヤでした。しかし、15分に快速1・普通2・ライナー1のダイヤは、JR東海の路線としてもう限界。さらに昨年、発車合図の方法変更によって各駅の停車時間が長くなると、定時運行が維持できなくなっていました。
始発 | 種別 | 春日井 発時刻 |
名古屋 着時刻 |
---|---|---|---|
南木曾 | 快速 | 7:30 | 7:54 |
瀬戸口 | 普通 | 7:34 | 7:59 |
瑞浪 | 普通 | 7:39 | 8:05 |
坂下 | 快速 | 7:45 | 8:10 |
多治見 | 普通 | 7:49 | 8:14 |
多治見 | 普通 | 7:54 | 8:19 |
南木曾 | 快速 | 8:00 | 8:24 |
瀬戸口 | 普通 | 8:04 | 8:28 |
美濃太田 | HL | (通過) | 8:31 |
土岐市 | 普通 | 8:09 | 8:34 |
中津川 | 快速 | 8:15 | 8:39 |
高蔵寺 | 普通 | 8:18 | 8:44 |
多治見 | HL | (通過) | 8:47 |
多治見 | 普通 | 8:24 | 8:50 |
中津川 | 快速 | 8:31 | 8:53 |
始発 | 種別 | 春日井 発時刻 |
名古屋 着時刻 |
---|---|---|---|
南木曾 | 快速 | 7:28 | 7:54 |
瀬戸口 | 普通 | 7:32 | 7:59 |
瑞浪 | 普通 | 7:38 | 8:05 |
坂下 | 快速 | 7:43 | 8:10 |
多治見 | 普通 | 7:47 | 8:14 |
多治見 | 普通 | 7:53 | 8:19 |
南木曾 | 快速 | 7:58 | 8:23 |
瀬戸口 | 普通 | 8:02 | 8:29 |
土岐市 | 普通 | 8:08 | 8:34 |
多治見 | HL | (通過) | 8:37 |
中津川 | 快速 | 8:15 | 8:41 |
高蔵寺 | 普通 | 8:19 | 8:47 |
多治見 | 普通 | 8:24 | 8:50 |
中津川 | 快速 | 8:33 | 8:57 |
そこで今度のダイヤ改正では、このパターンを見直すことにしたようです。具体的には、
改正後(右)を見ると、ホームライナーを境に、その前の列車の春日井発時刻が2分程度繰り上がっているのがわかります。
さらに着目したいのが、所要時間の増加です。春日井発時刻が2分繰り上がった列車にいついて、名古屋着時刻を改正前と比較すると、これが変わっていません。つまり、単純に2分程度所要時間が軒並み延びているんですね。春日井~名古屋が27分の快速もあり、これは改正前の普通列車よりも遅かったりします^^;
なお、所要時間の増加が目立つのは朝ラッシュの上りだけ。データイムや夕方は、大きな変化はないようです。
2月22日、313系1300番台B405~B408編成(4編成8両)が日本車輌で新製され、公式試運転を経て、神領車両区に配置となりました。これで、平成23年度にJR東海が予定していた新製44両が出そろった計算です。
この編成は神領車両区の213系5000番台の後継と位置付けられ、捻出された213系は大垣車両区に転属して、飯田線の119系を置き換える予定です。213系はすでに8編成が大垣へ転属しており、今回の313系1300番台の4編成投入、および2月末予定の近畿車輛改造出場2編成をもって、全14編成28両が飯田線へ転用されることになります。
313系1300番台は、転換クロスシートに車端部ロングシートの車内構成を持つ2両編成。さらに、仕様の異なる二つの編成があります。違いを以下に示します。
No. | 項目 | B400編成 | B500編成 |
---|---|---|---|
1 | 増粘着装置(セラジェット) | なし | あり |
2 | ワンマン設備 | 準備 | 対応 |
3 | スノープラウ | なし | あり |
4 | 霜取りパンタグラフ | あり | あり |
5 | 発電ブレーキ装置 | あり | あり |
投入数 | 8編成16両 | 16編成32両 | |
置き換え対象 | 213系5000番台 | 313系3000番台 |
上の表に示すように、B400編成は非ワンマン仕様の平坦線・暖地向け仕様。213系5000番台の後継と位置付けられます。2010年に4編成を新製。これにより213系4編成を捻出し、飯田線向けの改造工事を近畿車輛で進めてきました。そして今回4編成が新製増備され、213系捻出にともなう新製増備が完了しました。
もう一方のB500編成は、ワンマン・勾配・積雪対応となっています。こちらも313系3000番台を飯田線に転用するために投入されたもので、一足先に増備を完了しています。
編成名 | クモハ313 | クハ312 | 投入年 |
---|---|---|---|
B401 | 1301 | 1301 | 2010年 (運用中) |
B402 | 1302 | 1302 | |
B403 | 1303 | 1303 | |
B404 | 1304 | 1304 | |
B405 | 1305 | 1305 | 2012年 今回投入 |
B406 | 1306 | 1306 | |
B407 | 1307 | 1307 | |
B408 | 1308 | 1308 |
編成名 | クモハ313 | クハ312 | 投入年 |
---|---|---|---|
B501 | 1309 | 1309 | 2011年 (運用中) |
B502 | 1310 | 1310 | |
: | : | : | |
B512 | 1320 | 1320 | |
B513 | 1321 | 1321 | 2012年 |
B514 | 1322 | 1322 | |
B515 | 1323 | 1323 | |
B516 | 1324 | 1324 |
ところで、今回のB400編成出場は、目撃情報が少なかったですね。私の知る限り、当ブログにコメントをくださったμな気分さんと、唯一写真をブログにアップなさったNDRさんだけです。
さて、神領区の車両の動きを見てみます。おおむねこれまでの予想どおり推移しています。
編成名 | 形式 |
編成 両数 |
4次車 増備前 |
3月改正 予測 |
増減 |
現在の状況 (2012年2月) |
---|---|---|---|---|---|---|
H編成 | 213-5000 | 2両 |
14編成 28両 |
- (大垣へ) |
▲28 | あと6編成 |
B編成 |
313-1000 /1100 |
4両 |
5編成 20両 |
6編成 24両 |
+4 | 完了 |
B300編成 →R100編成 |
313-3000 ワンマン |
2両 |
16編成 32両 |
- (大垣へ) |
▲32 | あと3編成 |
B400編成 |
313-1300 非ワンマン |
2両 | - |
8編成 16両 |
+16 | 完了 |
B500編成 |
313-1300 (ワンマン) |
2両 | - |
16編成 32両 |
+32 | 完了 |
C編成 →K50編成 |
211-0 (大垣区) |
4両 |
- (大垣区) |
2編成 8両 |
+8 |
大垣区から 転属完了 |
増減 | ±0 |
213系5000番台は、昨年10月に関西線の運用を終え、大垣車両区に転属のうえ飯田線の運用を11月に開始。これまでに8編成が転属しました。一方で、中央線・東海道線の運用がわずかながら3行路残っており、予備を含めて4編成が神領車両区にいまも在籍しています。この置き換えにあたるのが、今回投入された313系1300番台(B405~B408編成)。さらに、今月26日には近畿車輛から最後の改造編成が出場する見込みで、全14編成の転属準備が整う予定です。
なお、213系5000番台14編成28両の後継には、B401~B408編成16両のほか、313系1100番台の新製(1編成4両)、および大垣区から211系0番台の転属(2編成8両)を充てています。
また、313系3000番台(B300編成)は全16編成32両のうち、これまでに13編成が大垣区へ転属。R100編成と改称して飯田線で運用中です。神領区に残っているのは、B307~B309編成の3編成のみ。こちらも、すでに後継の313系1300番台(B501~B516編成)がすでに全数投入済みで、残りのB300編成も転属を待つばかりの状況です。
B405~B408編成が運用を開始しました。これで、最後まで残っていた神領区の213系5000番台運用は終了したことになります。
JR東海は117系と119系の置き換えるため、昨年度より3年計画で313系120両の新製を進めています。昨年度は117系の約半数が運用から退いた一方、今年度は119系の置き換えを進めているため、117系の動きは比較的穏やかでした。
しかしながら、昨年度で運用を失った編成の一部が、廃車されずに大垣車両区に残っていました。このうち、S5編成が2011年8月に、そしてS15編成が本日西浜松に送られた模様です。S15編成はATS-PTを装備していないため、S12編成とS18編成に挟まれ、堂々12両編成の回送となりました。これはS5編成のときと同様です。
では、大垣区117系の現状を見てみましょう。
編成番号 | クハ117 | モハ117 | モハ116 | クハ116 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
S1 | 30 | 59 | 59 | 209 | リニア鉄道館へ |
S2 | 108 | 48 | 48 | 24 | |
S3 | 112 | 60 | 60 | 30 | |
S4 | 105 | 44 | 44 | 22 | 廃車 |
S5 | 107 | 52 | 52 | 26 | 廃車 |
S6 | 106 | 46 | 46 | 23 | 廃車 |
S7 | 111 | 56 | 56 | 28 | |
S8 | 109 | 50 | 50 | 25 | |
S9 | 28 | 45 | 45 | 207 | TRAIN117 |
S10 | 29 | 57 | 57 | 201 | 廃車 |
S11 | 25 | 49 | 49 | 206 | 国鉄色 |
S12 | 24 | 47 | 47 | 205 | |
S13 | 26 | 51 | 51 | 204 | |
S14 | 110 | 58 | 58 | 29 | 廃車 |
S15 | 22* | 43 | 43 | 202* | 本日廃車回送 |
S16 | 27 | 53 | 53 | 203* | クハ116PTなし |
S17 | 23* | 55 | 55 | 208 | クハ117PTなし |
S18 | 104 | 54 | 54 | 27 |
上表中、ピンク地は展示車となった車両、水色地はウィンディスペース改造車・編成、グレー地は廃車・廃編成を示します。また、クリーム色はATS-PT車上装置搭載車を示しています。編成は右側が米原方です。
これで残った117系は、イベント用のTRAIN117(S9)が1編成、一般編成が10編成となりました。一般編成の運用は現在9行路ありますので、予備編成1本を含めてちょうどの数です。来春以降、大垣区に新たな新車が入るまでは、しばらくこの陣容が続くものと思われます。
なお、S16・S17編成は片側のクハのみにATS-PTを搭載しています。このため、他の編成と併結して、ATS-PT非搭載クハが前面に出てこないように運用されます。また、S15の廃車にあたり、S16・S17とクハを差し替えたようです(*印付きの車両)。TRAIN117(S9編成)をPT対応とするため、以前S9・S15・S16・S17でクハの差し替えを行ったのですが、再度の差し替えによりS15は元の編成に戻って廃車された形になります。
近畿車輛で飯田線転用改造を実施中の213系5000番台。改造工事を終えたH13・H14編成が2月1日に神領区に戻ってきましたが、2月8日に入れ替わりでH1・H2編成が大垣区へ転属となった模様です。ちょっとネタが古くなって申し訳ありません^^;
編成名 | 入場日 | 出場日 | 改造 | 所属 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | H3・H4編成 | 1月7日 | 4月21日 | 大垣区に 転属 |
飯田線で運用中 (H10編成は事故 により運用離脱) |
|
2 | H7・H8編成 | 3月10日 | 6月23日 | |||
3 | H9・H10*編成 | 5月19日 | 8月30日 | |||
4 | H1・H2編成 | 7月2日 | 9月20日 | 2月8日転属 | ||
5 | H5・H6編成 | 9月9日 | 11月29日 | 神領区 | 中央西線・東海道線で 運用中 |
|
6 | H13・H14編成 | 10月27日 | 2月1日 | |||
7 | H11・H12編成 | 12月8日 | 2月26日(予) | 改造中 | 春日井着予定 |
すでにH2編成は転属の整備を終え、飯田線での運用を開始しているようです。H1編成の運用は今のところ確認できていませんので、事故により損傷したH10編成の穴を埋めている程度でしょうか。
ATS-PT講座の第12回目。今回は最近行われた小改良についてお知らせします。
お気づきの方もあるかもしれませんが、今年に入って、場内信号機の手前などに、右に示すような標識が設置されたところがあります。実はこれ、ATS-PTの弱点を補うものなんですね。
さて、このブログでは、ATS-PTの構造上の弱点・問題点は、以下に集約されるとしてきました。
通常の運転ではさほど問題がないものの、信号が上位変化したとき(赤から黄色に変わったときなど)、この二つによって円滑な運転が妨げられることです。詳細は以下の記事で解説しています。
第9回では問題点の整理。第10回では、赤信号(停止現示)で停止したときの運転扱いにおける問題点と、一部の駅で実施された解決策について説明しました。
今回お知らせするのは、赤信号で停止する前に、信号が上位変化したときの改良についてです。
当講座の第5回・第6回で詳しく説明していますが、ATS-Pの信号防護用地上子には、ロング・直下・消去用の3種類があります。P型はパターンによる連続制御ですから、ロング地上子1個あればパターンの生成は問題ありません。
一方、下の図に示すように、信号が途中で上位変化(赤から黄色や青になる)したときは消去用地上子が効力を発揮します。この地上子が不要となったパターンを消去(更新)し、この働きによって、再加速を可能にしたり、無駄なパターンで減速を強いられることから解放されるわけですね。
ところが、ATS-PTでは問題が一つ生じます。それは、パターンの更新が運転士に伝えられないということです。音もなければ、表示もありません。せっかくパターンが更新されても、運転士に伝わらなければ意味がありません。結局、運転士はあるはずのないパターンに縛られることになります。
この状況がわかる動画がyoutubeに上がっていましたので、これで実際の走行風景を見てみましょう。この動画は、飯田線下り特急伊那路の前面展望。問題の箇所は15:00付近、新城駅に入っていくところです
動画時刻の15:03あたりで、注意現示の遠方信号機を通過します。遠方が注意ですから、場内は停止です。そして15:40ぐらいで消去用地上子を通過するのですが、このときすでに場内信号機は進行現示に変化しています。しかし、運転士はパターンの更新を知り得ずないはずのパターンを警戒して、場内信号機の手前50mでは10km/h以下で走行しているのが確認できます。消去用地上子通過(15:40)から場内信号機通過(16:55)までの210mを走るのに1分以上かかっています。
さきほどの図では、消去用地上子は信号機手前210m(TR-210)の一箇所ですが、列車密度の高いところでは円滑な運転を考慮して、85m手前・400m手前などにも増設されています。しかし、運転士がパターン更新を知り得なければ、宝の持ち腐れ。せっかくの地上子増設も意味をなさない状態が続いていました。
パターンの更新を運転士が知る方法として、車上装置が通知する以外に、地上子の通過を確認するという方法もあります。しかし、運転士も地上子ばかり気にして運転するわけにもいきませんし、何より地上子自体が見えにくいです。レールの間にあるので粉塵で汚れていますし、ライトで反射もしないので夜間の視認も困難です。
そこで、最近取られた方法が、消去用地上子位置に標識を設置するというものです。以下の図は、中央線下り春日井駅場内信号機に関する地上子配置で、ロング・直下のほか、消去用地上子が3箇所(TR-85/210/400)設けられています(このほか分岐器用地上子がありますが、ここでは省略しています)。
この図で目を引くのが、[ATS-P/TR]という標識です。この記事の冒頭に拡大図がありますが、これをTR-210地上子付近に新設しています。この標識を通過することで、運転士はパターン更新を明確に知ることができるというわけです。欲を言えば、TR-400地上子にもほしいところですが、とりあえずはこれで様子を見ようということでしょうか。
また、TR-85手前に右のような標識が追加されています。力行標とよく似ていますが、これは場内信号機で停止するときの停止目標です。通常の取り扱いでは、信号機の手前50mで停止することになっているのですが、信号機が上位変化して発車した後、すぐにパターンが更新されるよう、TR-85地上子の直前に停止位置を移したものです。以下の記事で詳しくお知らせしたものと同じです。
ただし、春日井駅に設置されたものは、やや見えにくかった枕木上の表示から、視認性の高い反射式の標識に変更されているのが特徴です。TRとも書かれており、地上子通過の標識も兼ねているようです。
飯田線転用にともなう213系5000番台の改造工事ですが、雪の降りしきる本日2月1日、さらに2編成(H13・H14編成)が改造を終えて神領車両区に戻ってきました。これで14編成中12編成が改造を終え、残りは2月26日出場予定の2編成を残すのみとなりました。
これで飯田線119系の置き換えがさらに進むものと思いますが、一方で飯田線で運用中だったH10編成が先週に落石事故に遭い、運用離脱しています。その他、先日神領区に投入された313系1300番台B500編成の動きも合わせ、ここ1ヶ月間の車両の動きについてお知らせします。
ステンレス構体改造の経験を持つ近畿車輛にて、2011年初頭より実施され、今回の分を含め12編成が改造を終えました。下表にこれまでの改造履歴を示しますが、関西線での運用を終えた6編成が大垣車両区に転属。昨年11月末より、飯田線で運用に就いています。今回のH13・H14編成の改造終了により、さらに転属が進むものと思われます。
一方、神領区所属の213系は、中央線・東海道線で少ないながらも3行路を残しており、予備を含めて4編成が運用中です。この編成も313系1300番台が近々投入され、飯田線への転用が進むものと見られています。
編成名 | 入場日 | 出場日 | 改造 | 所属 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | H3・H4編成 | 1月7日 | 4月21日 | 大垣区に 転属 |
飯田線で運用中 (H10編成は事故 により運用離脱) |
|
2 | H7・H8編成 | 3月10日 | 6月23日 | |||
3 | H9・H10*編成 | 5月19日 | 8月30日 | |||
4 | H1・H2編成 | 7月2日 | 9月20日 | 神領区 | 中央西線・東海道線で 運用中 |
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5 | H5・H6編成 | 9月9日 | 11月29日 | |||
6 | H13・H14編成 | 10月27日 | 2月1日 | 本日到着 | ||
7 | H11・H12編成 | 12月8日 | 2月26日(予) | 改造中 | 春日井着予定 |
ところで、表中にも示していますが、飯田線で運用中だったH10編成が、1月25日に落石事故に遭い、現在運用を離脱している模様です。テレビニュースの映像を見る限り、大事には至っていないようですが、スカートを破損。その他ブレーキ不緩解を起こしたとのことで、足回りを含め修理が必要な状況のようです。予備車がなかったためでしょうか、静岡車両区の313系2350番台(W2編成・ロングシートワンマン仕様車)が急遽代車として運用されているとのことです。
119系の置き換えにあたるもう一つの車両が313系3000番台(ワンマン仕様セミクロスシート車)です。関西線・中央線木曽地区で運用にあたっていた神領区所属のB300編成を大垣に転属。R100編成に改称した上で、飯田線に転用します。
編成番号 (神領区) |
車番 | 所属 | 転属時期 | 転属後の 編成番号 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
B301 | 3013 | 大垣 | 2011年8月 | →R101 | 飯田線で運用中 |
B302 | 3014 | 大垣 | →R102 | ||
B303 | 3015 | 大垣 | 2012年1月? | →R103? | 転属? |
B304 | 3016 | 大垣 | 2011年11月 | →R104 | |
B305 | 3017 | 大垣 | 2011年10月 | →R105 | 飯田線で運用中 |
B306 | 3018 | 大垣 | →R106 | ||
B307 | 3019 | 神領 | - | - | 関西線で運用中 |
B308 | 3020 | 神領 | - | - | |
B309 | 3021 | 神領 | - | - | |
B310 | 3022 | 大垣? | 2012年1月? | →R110? | 転属? |
B311 | 3023 | 大垣 | 2011年10月 | →R111 | 飯田線で運用中 |
B312 | 3024 | 大垣 | 2011年8月 | →R112 | |
B313 | 3025 | 大垣 | →R113 | ||
B314 | 3026 | 神領 | - | - | 関西線で運用中 |
B315 | 3027 | 大垣 | 2011年11月 | →R115 | 飯田線で運用中 |
B316 | 3028 | 大垣 | 2011年10月 | →R116 |
神領のB300編成の置き換えにあたるのが、新車で投入される313系1300番台B500編成(ワンマン仕様転換クロスシート車)。今年1月までに4回に分け、B300編成全編成の置き換えに相当する16編成32両の投入が完了しています。
しかし、こちらの動きはまったりしています。8月・10月に投入されたB500編成は、中央線木曽地区のB300編成を一気に置き換えましたが、関西線の置き換えは慎重に行っているようです。1月18日に最後の4編成が出揃ってすでに2週間が経ちますが、どうやら運用に就いているのは1編成(B513編成)のみのようで、新たに転属したB300編成もあるのかないのか、まだ不明です。
ところで、313系の4次車として投入された313系1300番台ですが、ワンマン仕様車となるB500編成にはこれまでと大きな違いがあります。運転台にドア操作スイッチがないですね。
これまで、JR東海のワンマン車(JR東海に限らず、どこでもそうでしょうが)は、運転台にドアスイッチがあり、ワンマン運行時には運転席に座ったままドア操作ができました。しかし、今回投入した4次車にはこのスイッチがありません。
これはどうやら、昨年3月に行われたドア扱いの変更が関係しているようです。JR東海はそれまで、車掌がドアを閉めると、運転士は戸締めランプ(知らせ灯)の点灯を確認してすぐに発車していました。これを、車掌が運転士にブザーで発車合図を送る方法に変更したのですが、その方法がちょっとスゴイ^^;
さらにこの動作を、一つ一つ時間をかけて行うよう指導されているため、戸締めランプ点灯が点灯してから発車するまで、最低でも8秒、多くは10秒ぐらいかかります。ここまで徹底して確認している会社は、私の知る限りほかにありません^^;
こうなってくると、車掌乗務の列車がこれだけしっかり確認しているのに、ただでさえリスクの高いワンマン車が、ミラーを見て、スイッチ操作でよいのか?と、社内で問題視されるのは想像に難くありません。
結局、ワンマン車も同じような動作を要求されることになったのでしょう。かくして、ワンマン運転士は駅に着くたびに、椅子をたたんで立ち上がり、ドア扱いをしてまた座席を出して、という動作を強いられることになった模様です。
安全のためとはいえ、もう少しスマートな方法はなかったものかと思いますが、それ以上に気がかりなのは遅延です。ひょっとすると、現状の関西線ダイヤでは、4次車のワンマン扱いを行えるだけの停車時間が確保されていないのかもしれません。次回のダイヤ改正では、少々停車時間を延ばすことになるのでしょうが、それまではだましだましの運用をしているといったところでしょうか。
2月22日に、313系1300番台B405~B408編成が神領区に配置されました。これで、神領に残る4編成の213系飯田線の準備が整いました。また、今年度分の新車投入44両も完了したことになります。