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帰ってきたyokeのブログ。JR東海運用情報の更新情報も兼ねています。
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2012年12月09日

今年度(平成24年度)いっぱいで定期運用が終了すると言われているJR東海の117系ですが、今月(2012年12月)運用変更があり、運行本数を減らしています。ポイントを挙げますと、

  • 新快速 (大垣→岡崎・岡崎→名古屋)運用の消滅
  • 快速 (米原~金山)運用の半減
  • 土休日は米原~大垣のみの運行。土休日の快速・大垣以東運用消滅。
  • 一方で、データイムの大垣~米原4連運行の復活

となっています。新しい運用ダイヤをアップしましたので、合わせてご覧ください。

これまでの動き

JR東海は平成22年度(2010年度)から平成24年度(2012年度)にかけて、313系4次車を120両新製投入し、旧型車両(117系・119系)の置き換え進めています。このうち119系は、昨年度(2011年度)一気に置き換えが完了しています。

JR東海の117系は、313系4次車投入前まで4両編成・18本・計72両が大垣車両区に所属し、東海道線で17行路の運用をこなしていました。2010年に新車の投入が始まると運用が減り始め、同年の秋には9行路までに半減しました。

さらに、2011年3月のダイヤ改正時には、行路数こそ9本で変化がなかったものの、浜松地区に多数あった117系運用が全廃となり、岡崎以西に運用が限定されるようになりました。運用の減少を受け、一部はイベント車両のトレイン117に改造されたり、リニア・鉄道館で展示車となったものもありましたが、順次廃車も進みました。

一方、2011年度は119系の置き換えに重点が置かれたため、117系に大きな動きはなく、運用にも変化がありませんでした。しかし、2012年度に入ると、117系置き換えのための313系が追加投入され、行路数に変化が現れています。

JR東海117系平日運用本数の推移
主たる運用 2010年
3月
2010年
7月
2010年
10月
2011年
3月
2012年
8月
2012年
12月
(1) 豊橋~浜松
折り返し運用
2 2 2 0 0 0
(2) 大垣~浜松
送り込み運用
3 3 1 0 0 0
(3) 岐阜~岡崎
(岡崎停泊)
1 0 0 0 0 0
(4) 米原~名古屋
ラッシュ時快速
6 6 4 6 6 4
(5) 米原・名古屋~岡崎
米原~大垣
5 4 2 3 2 1(註)
合計 17 15 9 9 8 5

註 2012年12月は大垣~米原のみ。

今年度の動き

2012年8月までに、313系の新車が今年度分の32両のうち16両が投入。大垣~米原間の4連運行が置き換えとなり、117系の運用は8連のみ(2編成×4行路=8行路)となります。

置き換え車として16両が入ったわけですから、もっと行路が置き換えられるかと思ったのですが、減ったのは1行路のみ。事故にあった車両などもありましたので、運用に冗長性を持たせたのかもしれません。

ところが、12月に一気に運用が減りました。さらに3行路減って5行路に。この間に313系の新たな投入はありませんでしたが、3月の改正から4編成分が減り、ちょうど勘定が合う計算です。

行路数だけだとちょっとわかりにくいので、列車運転本数でも比較してみましょう。

2012年 JR東海117系列車本数の推移
(下り本数 / 上り本数)
列車 編成
両数
3月 8月 12月

新快速 岡崎~米原 8連 0 / 1 0 / 1 0 / 0
新快速 岡崎~名古屋 8連 1 / 0 1 / 0 0 / 0
快速 金山~米原 8連 4 / 3 4 / 3 2 / 2
普通 大垣~米原 8連 3 / 3 3 / 3 1 / 1
4連 1 / 1 0 / 0 1 / 1


快速 名古屋~大垣 8連 0 / 1 0 / 1 0 / 0
普通 大垣~米原 8連 3 / 3 3 / 3 2 / 2
4連 1 / 1 0 / 0 1 / 1

ごらんのようになります。冒頭でも書いたように、平日は新快速運用の消滅、快速は半減、土休日に至っては、大垣以東の運用はありません。その一方で、8月に消滅した4連の運用が復活しています。明るい時間に走る列車も復活したことになり、撮り鉄の方には朗報かもしれませんね。

117系の現状編成表

最後に117系の編成表を示しておきます。2012の2月から変更ありませんが、行路数の減少を受けて、今後廃車が進む可能性もあります。

大垣区117系の現状(2012年12月)
編成番号 クハ117 モハ117 モハ116 クハ116 備考
S1 30 59 59 209 リニア鉄道館へ
S2 108 48 48 24  
S3 112 60 60 30  
S4 105 44 44 22 廃車
S5 107 52 52 26 廃車
S6 106 46 46 23 廃車
S7 111 56 56 28  
S8 109 50 50 25  
S9 28 45 45 207 TRAIN117
S10 29 57 57 201 廃車
S11 25 49 49 206 国鉄色
S12 24 47 47 205  
S13 26 51 51 204  
S14 110 58 58 29 廃車
S15 22 43 43 202 廃車
S16 27 53 53 203 クハ116PTなし
S17 23 55 55 208 クハ117PTなし
S18 104 54 54 27  

上表中、ピンク地は展示車となった車両、水色地はウィンディスペース改造車・編成、グレー地は廃車・廃編成を示します。また、クリーム色はATS-PT車上装置搭載車を示しています。編成は右側が米原方です。

追記

この記事を書いて1週間も経っていないのですが、117系について新たな動きがありました。


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2012年11月29日

先日の記事(ATS-PTこの1年の動き・ST形地上子の撤去始まる)でお伝えしたとおり、ATS-PTの整備を昨年度末に完了したJR東海は、旧来のATS-ST形地上子の撤去を進めています。前回の記事からまだ2週間ですが、名古屋近郊ではすっかりST形の地上子が撤去され、あえて残してあると思われる出発信号機の直下地上子以外は、JR東海でST形の地上子を見かけることはなくなりました。

一方、名古屋駅と金城ふ頭を結ぶ第三セクター路線あおなみ線もATS-PTを導入しており、旧来のST形地上子の撤去を始めています。ここで気になるのが、例の河村たかし名古屋市長が提案した『あおなみ線にSLを走らせよう』という構想です。SLはJR西日本所有のC56 160号機を使う予定ですが、保安装置としてATS-Pは積んでいません。さて、いったいどうするのかと思っていたのですが、どうやら運行は可能なようです。順を追って説明しましょう。

あおなみ線とSL運行

あおなみ線は、東海道線の貨物支線として開業した西名古屋港線を、地元自治体・企業の出資による第三セクターで旅客化した路線。延長は名古屋~金城ふ頭間の15.2kmです。

旅客輸送のほか、JR貨物の名古屋貨物ターミナル駅が設置されているのが特徴。もともとの計画では名古屋貨物ターミナルから東へ伸ばし、東海道線の貨物線を分離する南方貨物線として整備される予定でしたが、完成済みの高架橋の耐震補強工事にJR東海が難色を示し、計画は中止となった経緯があります。

さて、あおなみ線の旅客輸送は需要予測を大きく下回り、苦しい経営が続いています。需要予測が甘かったことに加え、名古屋駅の立地が悪く利用しづらいのも影響しているのでしょう。そこで、出資者である名古屋市は需要増を狙って、SL列車を走らせる構想を立ち上げました。

この構想はなんとか具体化し、来年(2013年)2月に試験運行をすることになりました。試験運行ではありますが、一般からの試乗も受け付けています。その運行経路が図の赤い線です。

あおなみ線全線を走るわけではなく、名古屋駅~名古屋貨物ターミナル駅(5.1km)の折り返し運転となります。また、名古屋貨物ターミナルには転車台がないので、貨物ターミナル方にSL、名古屋方にディーゼル機関車を配置したプッシュ・プルのような編成にするとのことです。詳しくは以下をご覧ください。

保安装置はどうなる?

さて、ここで問題になってくるのが保安装置です。冒頭に書きましたが、あおなみ線はATS-PTを導入し、ST形地上子を次々と撤去しています。ATS-Pを積んでいないC56 160は、走行できるのでしょうか。

その答が以下の動画にありました。最近Youtubeにアップされた金城ふ頭から名古屋駅までの前面展望動画です。

これを見ますと、金城ふ頭駅から荒子駅(動画タイム17:30)までは、地上子はPT形とTASC(定位置停止装置・PT形地上子より一回り小さい)ばかりで、ST形の地上子は見あたりません。しかし、荒子駅を過ぎ名古屋貨物ターミナルからの線路が合流すると(同18:40)、名古屋駅までST形の地上子が残っていることがわかります。

列車の運行自体は貨物も含めP形を使っているようですが、SL運行区間ではST形地上設備を残してあるようですね。


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2012年11月22日

先日、所用で四日市に行く用事があり、近鉄名古屋線を利用しました。名古屋駅でJRから近鉄の乗換改札口を使い、TOICAとPiTaPaの2枚重ねタッチで通ろうとしたのですが、乗換改札へ向かう途中、今月から2枚重ねはできなくなった旨の掲示を発見。

「あらま」ということで乗換改札をあきらめ、いったんJRの広小路口改札を出てから、近鉄の改札へ向かいましたが、どうやら近鉄がICOCA定期を導入することに関係しているようです。

名古屋なのに関西系。微妙な近鉄名古屋線のICカード乗車券事情

近鉄名古屋線は東海地方にありながら、近鉄自体が関西の私鉄であるため、使えるICカード乗車券も、地域性と微妙にずれていました。以下に現在の使用可能なICカード乗車券を示します。

近鉄とJR東海で利用可能なICカード乗車券(2012年現在)
  TOICA PiTaPa ICOCA manaca Suica
SUGOCA
近鉄 不可 利用可 利用可 不可 不可
JR東海 利用可 不可 利用可 利用可 利用可

近鉄は関西私鉄ですから、基本となるカードはPiTaPaです。これにPiTaPaと相互利用可能なJR西日本のICOCAも利用可能カードとして加わりますが、JR東海のTOICA、中京民鉄系のmanacaはいずれも利用できません。

一方、JR東海は基本カードがTOICAです。manacaとは相互利用を開始しましたが、PiTaPaの利用はまだできません。一方で、JR西日本のICOCAはJRつながりで利用できます。

つまり、近鉄とJR東海は自社カードだけで両方を利用することができません。一方、名古屋と直接関係のないJR西日本のICOCAだけが双方利用可能なんですね。

  • 名古屋でJRと近鉄を利用するなら、ICOCAが便利

という微妙な状態であるわけです。むろん、名古屋にJR西日本の駅はありませんので、名古屋でICOCAを手軽に買うことはできませんでした。

先月までの近鉄・JR名古屋駅乗換改札の状況

このような微妙な状況を受けて、これまで名古屋駅のJR・近鉄の乗換改札では、互いの自社カードを尊重する取り扱いを取っていました。つまり、JR東海のTOICAと近鉄のPiTaPaを2枚重ねで通れるようにする、というシステムです。PiTaPaの代わりに、TOICAとICOCAを重ねて通すこともできましたが、双方を利用できるICOCA1枚で通ることはできませんでした。先月(2012年10月)までの状況を以下に示します。

近鉄名古屋駅とJR名古屋駅の乗換(2012年10月まで)
ICカード乗車券の組合せ 精算対象カード 乗換改札通過の可否
JR東海 近鉄
TOICA + PiTaPa TOICA PiTaPa 可能(2枚重ね)
TOICA + ICOCA TOICA ICOCA 可能(2枚重ね)
Suica + PiTaPa Suica PiTaPa システム的に不可
Suica + ICOCA Suica ICOCA 可能?(2枚重ね)
TOICA単独 TOICA 利用不可 不可(近鉄利用不可)
PiTaPa単独 利用不可 PiTaPa 不可(JR東海利用不可)
ICOCA+PiTaPa ICOCA PiTaPa 不可(ICOCAは近鉄専用扱い)
ICOCA単独 ICOCA ICOCA 不可(ICOCAは近鉄専用扱い)

表にまとめてみると、結構複雑です。TOICA + PiTaPaの2枚重ねがOKなら、その相互利用カードでも自由に通れそうなものですが、必ずしもそうではありませんでした。まず、Suica + PiTaPaはシステム上、2枚重ねができないのだそうです。

さらに、ICOCA + PiTaPaも不可です。名古屋駅の近鉄・JR乗換改札口を通る場合、ICOCAはJR東海の精算には使えず、近鉄の精算にしか使えないというロジックが存在したためです。同様の理由で、ICOCA単独も乗換改札口を通れませんでした。

今月からこう変わった - 近鉄・JR名古屋駅乗換改札

ところが、冒頭で書いたように今月(2012年11月)から、乗換改札のシステムが変わりました。まとめると以下のとおりで、2枚重ねを一切廃止。逆にこれまで不可能だったICOCA単独が、乗換改札をICカードだけで通れる唯一の方法となりました(切符との併用は他のカードでも可能です)。

近鉄名古屋駅とJR名古屋駅の乗換(2012年11月から)
ICカード乗車券の組合せ 精算対象カード 乗換改札通過の可否
JR東海 近鉄
TOICA + PiTaPa TOICA PiTaPa 不可(2枚重ね不可)
TOICA + ICOCA TOICA ICOCA 不可(2枚重ね不可)
Suica + PiTaPa Suica PiTaPa システム的に不可
Suica + ICOCA Suica ICOCA 不可(2枚重ね不可)
TOICA単独 TOICA 利用不可 不可(近鉄利用不可)
PiTaPa単独 利用不可 PiTaPa 不可(JR東海利用不可)
ICOCA+PiTaPa ICOCA PiTaPa 不可(2枚重ね不可)
ICOCA単独 ICOCA ICOCA 可能

ごらんのように、PiTaPa・TOICAの利便性を下げ、ICOCAの利便性を上げた形になっています。近鉄では、来月(12月)よりICOCAの発売・ICOCA定期の導入を始めることになっており、名実ともにICOCAが近鉄のスタンダードとなるようです。

PiTaPaの不振とICOCA定期券導入

PiTaPa(Wikipmedia commons)

近鉄をはじめとする関西私鉄が導入しているPiTaPaは、ポストペイという珍しい方式を採用しています。他のICカード乗車券のように前もってチャージをして使うのではなく、使った料金の請求が後から来る「後払い方式」なんですね。

ポストペイのPiTaPaには、メリットもたくさんあります。まず鉄道事業者は、チャージが不要ですから、チャージをする設備を各駅に置く必要がありません。また、PiTaPaを手に入れるにはクレジットカード同様に信販会社を経由するため、各駅でカードを販売する設備も不要です。導入する鉄道会社にとって、設備更新コストを抑えられるのは大きな魅力でした。

利用者にとっても、ポストペイの利点を発揮した各種割引制度が存在します。チャージ方式と異なり、その場で決済をしないので利用状況に応じて請求額が決められます。大阪市営地下鉄のマイスタイルはその最たるもので、1ヶ月の利用状況に応じて定期券相当か回数券相当か、安い方の請求が来るようになっています。また、実際に口座から引き落とされるのが乗車の2ヶ月後ぐらいですから、手元に当座のお金が残り「キャッシュフローがよい」と言う人もいます。

しかし、デメリットが多いのも事実です。利用者もPiTaPaを持ってさえいれば、いろいろ恩恵にあずかれるのですが、手に入れるのが面倒なんですね。後払い方式PiTaPaは信用取引ですから、信販会社による審査があります。申込書に年収や家族構成、勤務先の規模や売上高を記入し、引き落とし口座を指定。本人確認のため、公共料金の領収書なども添付したりと、とにかく面倒です。郵送した後、審査して発行となるのですが、手元に届くまでに1ヶ月近くかかるんですね。

となると、就職や転勤して通勤にPiTaPaを使おうと思っても、すぐには使えないことになります。この敷居の高さにより、PiTaPaの発行枚数は200万枚程度にとどまっており、後発のmanacaにさえ抜かれそうな気配です。このため、関西私鉄のICカード化は遅々として進みませんでした。とくに定期利用者の磁気券使用率はずっと高いままです。

ICOCA(Wikimedia Commons)

そこで、近鉄や京阪は、利用者が伸び悩むPiTaPaに見切りを付け(やめるわけではありませんが)、ICOCA定期券を導入することにしました。JR西日本との連絡定期券だけでなく、私鉄だけの定期券をICOCAで作れる点、さらにICOCAそのものを私鉄が発売する点が、他の地域と趣を異にするところです。ライバルであるJR西日本に白旗を揚げた形ですね。この決断には時間がかかったと思います。

さらに、近鉄では自社カードと一体になったKIPS ICOCAカードも新たに発売。着々とICOCA本格導入の準備が進んでいます。

導入するのがICOCA定期ですので、名古屋地区における連絡定期券はまだですが、PiTaPaの足かせが取れたことで、JR東海や名古屋市交通局・名鉄との連絡定期券も実現の可能性が増してきました。

追記 - JR東海と近鉄のIC連絡定期・来春発売開始

追記です。全国の主要ICカード10種の相互利用が2013年3月23日より開始となるのに合わせ、JR東海と近鉄の連絡定期券が発売となるようです。


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2012年11月20日

前回に引き続き、鉄道技士試験に関する話題です。

「え~。またかよ」と思われる方もあるでしょうが、今回の問題はここのブログにちょうどいいテーマ?を選んでみたものです。

さて、鉄道技士試験は鉄道総研が平成8年から実施しているもので、鉄道土木・鉄道電気・鉄道車両の三つの専門分野に分かれています。前回の模擬試験問題は分野を問わない共通試験からのものでしたが、実際の過去問と解答(答えのみ)は以下でごらんになれます。

では、平成23年度の鉄道車両・専門試験Iの中から、一問だけ引用します。

問40

20‰の勾配を、抑速回生ブレーキにより72[km/h]で下っている電車がある。この電車は質量38[t]の電動車1両と質量28[t]の付随車1両で編成されている。なお、回転慣性、走行抵抗、電動機効率、歯車効率、主回路損失は無視するものとし、ブレーキ変化時の追随性やジャークによる影響は無視するものとする。また、勾配の角度θ[rad]については、θ≒tanθ≒sinθが成り立ち、重力加速度g=10m/s2とする。

  1. 抑速回生ブレーキ中の架線電圧が1,650[V]一定の場合、架線への回生電流は( 1 )Aである。
  2. (以下省略)

設問は全部で5問あるのですが、あんまり書くと引用の範囲を超えそうなので、1問だけにしておきます。なお、右の図は私のオリジナルです。

さて、この問題がなぜこのブログと関連するのか、それはこの車両構成が213系とよく似ているからです。1M1Tの2両編成で、抑速回生ブレーキを備え、車両の質量(M車38t,T車28t)も座席が8割方埋まった213系と近いんですね。しかも20パーミルの下りで抑速ブレーキをかける、現在運用中の飯田線を思わせます。

というわけで、213系が抑速ブレーキをかけると、架線にはどれぐらいの電流が戻るのか、この問題を例に考察しようというわけです。

高校レベルの力学を覚えている人には、それほど難しくないかもしれません。なお、問題文にあるsinやtanの下りは、sinθ=tanθ=20/1000と考えていいよ、という意味です。力学的にはsinを使うのが正しいのですが、θが小さい場合、tanθとsinθ(さらに言えばθradも)は近似できるので、tanθ(つまりはパーミル)をそのまま使うのが通例です。


では回答編です。

問題の解き方ですが、以下の手順になります。

  • 抑速ブレーキ力 F(kN)を求める
  • 抑速ブレーキ出力 P(kW)を求める
  • ブレーキ出力Pと架線電圧 E(kV)の関係から、回生電流 I(A)を求める。

ブレーキ力を求める

斜面の問題

右に図を描きました。昔、理科の授業でやりましたよね(笑)。いわゆる斜面の問題で、摩擦で滑らないための条件は?などの設問がついて回りました。

今回の問題では摩擦はありませんが、代わりに抑速ブレーキをかけます。抑速ブレーキは速度を変えないことが条件です。速度が変わらないことは、この物体(車両)にかかる力が釣り合っていることを意味します。つまり、車両が重力によって滑り降りようとする力(図中の黒い矢印)と大きさが等しくなるように、ブレーキ力Fを決めてやればいいんですね。

さて、この車両には重力mgが作用します。mは質量(=38+28t)、gは重力加速度(=10m/s2)です。さらに斜面上に置くと、滑り降りようとする力として、mg・sinθが分力として現れます。三角関数が出てきて、拒否反応を示した方もあるかもしれませんが、ご安心ください。問題にあるように、sinθ=tanθ=勾配としてよいと書かれていますので、単純にmgi (i=20/1000)と置き換えることができます。したがって、ブレーキ力Fは、

  • F = mgi
  • = ( 38+28 )× 10 × 20 / 1000
  • = 13.2 kN

このように求まりました。質量を10倍して勾配を掛ける、意外に単純です。さらに言えば、力をtで求めるなら、10倍する必要もありません。

ブレーキ出力を求める

ブレーキ出力とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、加速するときと同様に、力をかけて速度を変化させれば、出力がついて回ります。

では、出力とはなんぞや?という話になるのですが、これは仕事(kJ)を時間で割ったものと考えてください。出力が大きければ、短い時間で同じ仕事ができます。同じ速度を得るには、出力をたくさん出した方が、早く目標速度に到達します(=加速が速い)。

さて、仕事と言えば、以下の式で表せます。

  • 仕事 (kJ) = 力 (kN) × 距離(m)

仕事(kJ)を時間(s)で割れば出力(kW)になるのですから、式の右辺も時間で割ってやりましょう。力を時間で割るというのは意味がわかりませんから(笑)、距離(m)を時間(s)で割って、速度(m/s)にしてやります。

  • 出力 (kW) = 力 (kN) × 速度(m/s)

これで式ができました。力 Fは先ほど求めた13.2kN。速度は問題に72km/hとありますので、3.6で割って秒速に直します。

  • P = F・v
  • = 13.2(kN) × 72 / 3.6 (m/s)
  • = 264 kW

と、ブレーキ出力が求まりました。

213系は定格120kWのモーターを4つ積んでいますので、編成定格出力が480kWです。おおむね定格の半分ぐらいのブレーキ出力になります。一般に電車は定格の1.4~1.5倍の出力を使うと言われていますので、それを考えるとフルで力行しているときの約40%ぐらいと言えます。

というわけで、抑速ブレーキの回生電力を知ろうと思ったら、

  • 回生電力(kW)
  • = 編成質量(t) × 10 × 勾配(‰) / 1000 × 速度(km/h) / 3.6
  • = 編成質量(t) × 勾配(‰) × 速度(km/h) / 360

おおまかには、こんな式で簡単に出せるってことですね。たとえば、編成質量400t・10パーミル・90km/hで抑速ブレーキなら、400×10×90 / 360 = 1000kWが簡単に出ます。役に立つかはわかりませんが(笑)

回生電流を求める

これは簡単です。電力=電圧×電流ですから、回生電力(kW)を架線電圧(=1.65kV)で割ってやれば、回生電流が求まります。

  • 回生電流(A) = 回生電力(kW) / 架線電圧(kV)
  • = 264kW / 1.65kV
  • = 160A

と最終的な答えが出ました。

2012年11月14日

JR東海が導入を進めていた速度パターン照査方式の自動列車停止装置ATS-PTについて、この1年(2012年)の動きを追ってみました。

今年2月に全線(バス代行区間を除く)での工事を完了し、JR東海のATSはすべてP形に切り換えられました。その後、9月頃には米原付近のS形混在区間も解消した模様で、11月に入ると旧来のST形地上子の撤去も本格化しているようです。

では、順に解説していきます。

2012年2月 - 全線でPT形使用開始

JR東海は今年の2月、下の図に示すように、すべての路線をATS-PTに切り換えました。図には示してありませんが、あおなみ線も現在はATS-PTが導入されています。

名松線もバス代行区間である家城~伊勢奥津間は未施工ですが、運行中の松阪~家城間はATS-PTとなり、家城駅構内にはしっかりPT形の地上子が配置されています。この区間、いまだ非自動閉塞方式であり、信号機こそ色灯式になりましたが、票券閉塞式(タブレットを受け渡す)のままATS-P化された全国的にも希な区間です。

ATS-PT整備路線

さてATS-PTは、S形を併用する拠点P形ではなく、すべてP形で防護する全線P形です(たまに、ATS-PTは拠点Pと書いているサイトがありますが、昔の憶測がそのまま残っているだけで誤りです)。S形を併用しないので、「じりりりーん!きんこんきんこん…」というけたたましいS形の警報音を、JR東海で聞くことはなくなりました。ただ、エンド交換時にはST形が立ち上がるので、そのときに試験鳴動がありますが、走り始めるとすぐにP形に切り替わるため、JR東海の路線で運転中にS形の警報音が鳴ることはありません。

しかしながら、他社との境界駅が他社管轄である場合は、ATSも相手先のシステムに依存します。図に境界駅が示してありますが、JR東海とJR他社の境界駅は、亀山駅を除き、すべて他社管轄です。このため、境界を越えた時点で、S形に切り替わることがあります。

JR東海とJR他社の境界駅におけるATS方式
路線 境界駅 管轄会社 ATS方式
東海道線 熱海 JR東日本 P形
米原 JR西日本 P形
中央線 塩尻 JR東日本 P形
関西線 亀山 JR東海 PT形
高山線 猪谷 JR西日本 Sw形
紀勢線 新宮 JR西日本 Sw形
飯田線 辰野 JR東日本 SN形
身延線 甲府 JR東日本 P形
御殿場線 国府津 JR東日本 P形

上の表に示すように、猪谷・新宮・辰野の各駅については、管轄会社がS形を使用しているため、駅到着前にS形に切り替わり、S形の警報音が鳴ることになります。

また、境界駅として唯一JR東海管轄の亀山駅はもちろんPT形なのですが、加茂方面からJR西日本の関西線列車はS形を使用しているようです。東海の車両はP形、西日本の車両はSw形を使うというわけです。このほか、亀山駅はATS-PのA線・B線が混在しており、ちょっと複雑な保安形態となっています。

このほか、飯田線の豊橋~小坂井(平井信号場)間は名鉄との共用区間ですが、JRの列車のみATS-Pを使用し、名鉄の列車は従来どおりM式ATSを使用しています。

乗り入れ第三セクターの状況

JR東海に乗り入れる第三セクターについてですが、伊勢鉄道・愛知環状鉄道ともに、基本はATS-ST形を使用しています。しかし、運用方法は各社で差があります。

伊勢鉄道は、四日市~河原田間および津駅構内に関して、JR東海に乗り入れる形を取っています。このため、伊勢鉄道の列車は、伊勢鉄道線内ではST形ですが、JR東海に乗り入れる区間はPT形に切り替わります。

一方、愛知環状鉄道もJR東海の高蔵寺・岡崎両駅に乗り入れるのですが、この線路が愛知環状鉄道専用となっているため、愛環の列車はST形しか使いません。ただし、愛環の車両も、検査をJR東海に委託しているため、検査回送等でJR東海線内を走ることがあり、PT形の車上装置を装備しています。

2012年9月 - 米原付近のS形混在区間解消

下の図は、東海道線全線でATS-PTの使用を開始した2011年2月末ごろの状況図です。JR西日本との境界である米原駅付近では、P形がいったんS形に切り替わり、しばらくしてまたP形に戻る変則的な運用がなされていました。

西日本の東海道線が拠点P形を採用しているためか、西日本と東海のシステムに不整合があったためか、詳細はわかりませんが、この状況が約1年半ほど続いていました。

ところが、今年の9月末頃から、S形に切り替わることがなくなったようで、米原駅発着のJR東海の列車はずっとP形のまま運行するようになりました。調べてみると、ちょうどこの時期、JR西日本が米原~長浜間にATS-P(拠点P形)を整備した模様で、これに合わせて東海道線のATS機器構成も見直したようですね。

2012年11月 - ST形地上子の撤去も始まる

さて、最新情報です。先週、ふと気付いたのですが、春日井から新守山にかけての中央線で、ATS-ST形の地上子がほとんど見あたらないのです。たしかにあったはずなんですが…。

ST形の地上子には主として、以下の3種類があります。

ATS-ST形の主な地上子
地上子 機能
ロング地上子 次の信号機が停止現示のときに機能。運転席に警報を鳴らし、確認動作を要求。
直下地上子 信号機直下に設置。停止現示のときは即非常ブレーキを作動。
絶対信号機(出発・場内)や場内相当の閉塞信号機に設置。
速度照査地上子 2つの地上子間を通過する時間を計測し、速すぎると非常ブレーキ作動。

ST形地上子の設置数はP形に比べると少ないのですが、比較的多いのが速度照査地上子です。ST形の速度照査は、2点間の通過時間を計るという方式なので、ピンポイントの速度照査しかできません。ですから、パターン速度照査に近いことをやろうとすると、何組もの地上子を並べる必要があります。JR東海の場合、過去に出発信号機の冒進で何度が事故を起こしているので、とりわけ出発信号機付近にたくさんの速度照査地上子が並んでいました(下図)。

ATS-ST形の地上子配置(出発信号機・場内信号機)

さらに今週に入ると、新守山や大曽根に大量にあった出発信号機付近の速度照査ST形地上子が、きれいになくなっています。その他のロング地上子や直下地上子も続々と撤去されています。ただし、出発信号機の直下地上子だけはあえて残しているようにも見えます。これだけは残しておくのかもしれません。

これまでも名古屋駅構内で、使わないST形の地上子にカバーをかけているのは見かけましたが、本格的な地上子の撤去は、私の知る限り初めてです。なお、ATS-ST形については、くりこうさんのページが詳しいです。


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