今年は東日本大震災という未曾有の災害がありましたが、台風の当たり年でもありました。とくに台風12号と台風15号の被害は甚大で、各地で鉄道が寸断。いまだ復旧していない箇所もあります。現在の状況を見てみることにします。
9月7日の記事でお伝えしたとおり、紀伊半島に大量の雨を降らせた台風12号の影響によって、橋梁や路盤の流失などが相次ぎ、紀勢線は紀伊田辺(白浜)~熊野市の長い区間に渡って、運転を見合わせていました。
その後、9月26日に白浜~紀伊勝浦間が復旧。10月11日には、一部流失した井戸川橋梁の仮復旧が完了し、熊野市~新宮間の運転を再開しました。
この復旧でJR東海管轄の区間は全面復旧となりましたが、那智川橋梁が流失したJR西日本の紀伊勝浦~新宮間はいまだ不通が続いています。このため、新宮駅はJR西日本の駅でありながら、JR東海の列車しか発着しないという珍妙なことになっています。
さらに、JR西日本の車両が新宮駅で長期間足止めを食っており、特急列車の運転本数削減を余儀なくされるなど、車両の運用に支障が生じています。そこで、足止め車両を新宮駅から名古屋経由で日根野区まで迂回回送することになったようです。ただし、JR東海の紀勢線は非電化ですので、JR西日本の電車は自走できません。機関車に引かれて向日町(京都総合車所)あたりまで甲種輸送されます。
この甲種、月刊とれいんのサイトに情報があがっていましたので紹介しておきます。まずクモヤ145を3両新宮まで運び、クモヤを介して283系1本と383系2本を3回に分けて運ぶようです。経路はどうやら伊勢鉄道経由の模様です。
なお、紀勢線の全面復旧は、12月3日の予定です。
9月下旬には台風15号が愛知県や静岡県を中心に被害を出しました。
この影響により、富士と甲府を結ぶ身延線が、西富士宮~身延間で不通となりました。このうち、西富士宮~内船間は今月中旬に復旧の見込みですが、残る内船~身延間は盛土路盤の崩壊により、復旧は来年春となる予定です。
さて、不通区間により、運転区間が南北二つに分断されてしまった身延線。このうち、身延~甲府間を運転する車両は、所属の静岡車両区に帰れなくなってしまいました。営業運転そのものはできるのですが、点検・整備もままならず、聞くところによればトイレも使用不可となっているとか。
そこで、車両の整備を行うため、塩尻・名古屋経由でこちらも迂回回送することになったようです。中央東線はJR東日本の管轄ですが、紀勢線と異なり運転そのものはできますので、自走で回送しているとのこと。点検が終わると、また運用に戻るため、行ったり来たりしているようです。
なお、車両の向きを合わせるため、塩尻では中央東線⇔中央西線の短絡線を使用しています。なかなか珍しい光景で、Youtubeにもアップされていましたので、貼り付けておきます。
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