ニュース等で報じられているとおり、台風12号は紀伊半島を中心に多大な被害をもたらし、死者・行方不明者100人を超す大惨事となりました。
この台風の特徴は速度の遅さと大量の雨。実に1500mm以上の雨が降った地域もあります。私はこの台風が近づいて以来、雨雲レーダーを見ていたのですが、愛知県にはほとんど雨が降らない一方で、紀伊半島南部にずっと大雨の雨雲が居座り続けていました。尾鷲・熊野地方、あるいは大台ヶ原などは、もともと全国屈指の多雨地域ではありますが、さすがにこの雨量は尋常ではなかったようです。
いまだに、交通網が寸断され孤立したり、停電や断水が続く地域もあるほか、土砂崩れによって自然のダムができ、決壊のおそれがあるなど2次災害も心配される状況です。
さて、鉄道の被害を見てみましょう。今回の台風では多数の河川が決壊しましたが、那智勝浦町の那智川橋梁(JR西日本・紀伊勝浦駅付近)および熊野市の井戸川橋梁(JR東海・熊野市駅付近)がそれぞれ一部流失したほか、盛土崩壊などの被害が多数発生し、9月7日現在で白浜・熊野市間の長い区間で不通になっています。
JR東海は熊野市で折り返し運転、JR西日本は白浜で折り返しとなっており、不通区間には代行バスが運転されています。詳しくは記事末尾の関連サイトをごらんください。
今後、復旧作業が実施されると思われますが、橋梁が2箇所流失した熊野市・紀伊勝浦間については長期化する見通しのようです。寸断区間にある新宮駅では留置車両が水没し、その中にはJR東海の軌道電気総合試験車キヤ95も含まれていたとのことで、JR東海の在来線すべての保線作業に影響が出そうです。
熊野市・新宮間の復旧の目処が立ち、10月11日より運行を再開するそうです。詳細はJR東海運行状況をご覧ください。
なお、JR西日本の区間となる新宮・紀伊勝浦間は、運転再開のまだ目処は立っていません。
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