先日はmanacaの特徴やマイレージポイントについて簡単に書いてみましたが、廃止されるトランパス(ユリカ)や回数券カードと比べてどうなのか、検証してみたいと思います。利用状況は人によってさまざまですが、今回は通勤で地下鉄を使う人を対象とします。また、manacaには定期券を組み込むこともできますが、ここではチャージ利用とマイレージポイントで利用した場合を対象とします。
まずお断りですが、これは私的な研究によるものです。条件は名古屋市交通局のお知らせ(PDF)より読み取りましたが、解釈が違うことも考えられます。あくまで参考に留めてください。考慮した条件は以下のとおりです。
地下鉄の通勤定期は割引率が低いので、定期を持たずに回数券やユリカ(トランパス)をご利用の方も多いでしょう。次の表は、1区(200円区間)を一ヶ月40回(20往復)利用した場合のシミュレーションです。
月数 | 運賃 (円) |
ポイント 利用 |
利用額 (支払額) |
ポイント 付与 |
---|---|---|---|---|
1 | 8,000 | - | 8,000 | 960 |
2 | 8,000 | 960 | 7,040 | 840 |
3 | 8,000 | 840 | 7,160 | 840 |
4 | 8,000 | 840 | 7,160 | 840 |
5 | 8,000 | 840 | 7,160 | 840 |
1ヶ月目はポイントがたまっていませんから、すべてチャージで支払います。よって支払額は8,000円。ポイントは5,000円以上10,000円未満で12%付きますので、8,000×12%=960ポイントが付与されます。さらに2ヶ月目はこのポイントが使えますので、支払額は8,000-960=7,040円に下がります。さらにこの7,040円にポイントが付きますが、1000円未満の端数は切り捨てられるので、7,000×12%=840ポイントの付与。
3ヶ月目以降は支払額が8,000-840=7,160円となり、端数切り捨てでポイントは2ヶ月目と同じく840ポイント。ポイントが固定されるため、以降の月の支払い・付与ポイントは同じになります。結果として、月々7,160円で固定されるようです。この額はユリカ5600(5000円で5600円分利用可能)のユリカを利用した場合とほぼ同じです。
では、利用回数の違い、利用方法の違いでどの程度の差が出るでしょうか。1区の利用について、manaca・定期券に加え、廃止されるユリカ(トランパス)、同じく廃止予定の1区特別きっぷ(3800円で22回利用可)を比較対象にし、利用回数を1ヶ月あたり36回から48回までシミュレートしてみました。
利用回数 | 切符購入 | manaca | ユリカ (5600) |
1区特別 きっぷ |
3ヶ月 定期券 |
---|---|---|---|---|---|
36 | 7,200 | 6,480 | 6,429 | ★6,218 | 7,753 |
40 | 8,000 | 7,160 | 7,143 | ★6,909 | 7,753 |
44 | 8,800 | 7,960 | 7,857 | ★7,600 | 7,753 |
48 | 9,600 | 8,640 | 8,571 | 8,291 | ★7,753 |
もっとも安くなる利用形態に★を付けてみました。さすがに1区特別きっぷは安いですね。一方、ユリカ5600と比較した場合は、manacaも大差ないことがわかります。差はわずかに数十円程度。960円も切り捨ててしまう44回の場合でもせいぜい100円ぐらいしか変わりません。また、1ヶ月あたり44回利用の場合をよく見ると、manacaより3ヶ月定期券が安いことに気付きます。これまで1区特別きっぷの恩恵にあずかってきた人は、発売中止後、定期券を使用することを考えてもいいかもしれません。あるいは2月10日までに1区特別きっぷを買いだめしておいた方がよさそうです。
次にもっと長い距離を利用して、利用額が多い場合を想定してみましょう。4区(290円区間)、これは名古屋~藤が丘間に相当します。manacaは利用額に応じてポイント率が上がりますから有利なはずですが、どうでしょうか。前表と同様のシミュレーション結果を示します。ただし、1区以外には回数券がありませんので、定期・ユリカとの比較のみです。
利用回数 | 切符購入 | manaca | ユリカ (5600) |
3ヶ月 定期券 |
---|---|---|---|---|
36 | 10,440 | 9,360 | ★9,321 | 10,253 |
40 | 11,600 | 10,350 | 10,357 | ★10,253 |
44 | 12,760 | 11,385 | 11,393 | ★10,253 |
48 | 13,920 | 12,420 | 12,429 | ★10,253 |
同様にもっとも安い利用形態に★を付けてみました。manacaは利用額が10,000円を超えるとポイントが12.5%に上がります。40回以上利用すると、現行のトランパス(ユリカ5600)より安く済みます。しかし、4区の場合は月40回(20往復)の利用で、すでに定期券の方が安くなっています。実は、地下鉄の定期は、1区より2区、2区より3区の方が定期の割引率が高く設定されていて、距離が伸びるほど定期券が得となっているんですね。週休二日制の人でも月20往復はすると思いますので、距離が伸びればむしろ定期と言えるでしょう。意外とmanacaの活躍する場面が出てきません^^;
さて、これ以上の利用、つまりポイント還元率が13%となると、月の利用が15,000円を超えるわけですが、正直、ここまで地下鉄を使い倒す人は希でしょう。5区(320円区間)で月に50回以上利用しないと、毎月のポイント率が13%になりません。この利用頻度なら定期でしょうね。
というわけで、地下鉄通勤編でシミュレートした感想です。