2011年2月11日、名古屋地区の私鉄・地下鉄系カード「manaca(マナカ)」が登場します。
自動改札の導入は早かったのに、電子マネー乗車券の普及が遅れていたのが名古屋地区。JR東海のToicaはサービスを開始して早4年になりますが、地下鉄や名鉄はいまだ磁気券オンリーの状態。各地で電子マネー乗車券は普及するなかで全国的にも珍しい状況でしたね。
manacaは自動改札にタッチするだけで通過できる電子マネー乗車券。料金はあらかじめチャージしておき、改札を通ると自動精算。定期券を組み込むこともできますし、乗り越し精算もチャージで自動的に行われます。チャージはコンビニでも使えます。まあ、このあたりは、SuicaやToicaなどと同じです。
とくに特徴的な点を挙げると、Suica・Toicaとの相互利用は後発組のmanacaとしては妥当なところでしょう。一方、JRと地下鉄の定期が一枚になるというのは、この地方としては画期的です。首都圏では連絡切符・連絡定期の発売は当たり前に行なわれていましたが、名古屋ではほとんど例がなく、相互乗り入れをしている名鉄と地下鉄でさえ、全面的に行なわれるようになったのは、つい最近のことです。
さて、一番の目玉は「マイレージポイント」でしょう。使った分だけポイントによるキャッシュバックがあり、地下鉄の場合で最大13%、場合によっては30%のポイントが付き、これがそのまま運賃として利用できるというものです。さらに、manaca発売と同時に従来の磁気回数券や磁気ストアードフェアカード「トランパス」を発売中止にするとしています。通常は多少のラップ期間は設けると思うのですが、よほどマイレージポイント制に自信を持っているようです。
ご存知のようにSuicaやToica、PASMOにはいわゆる割引制度がありません。切符を買う手間は省けますが、10回乗ると1回分タダになる「回数券の代わり」にはならないのです。クレジットカードとオートチャージを組合せ、せいぜいわずかなポイント(1%前後)が入る程度です。このためICカードをあえて持たない人もいました。そこで、関西の私鉄系カードである「PiTaPa」は後払い方式を採用し、使った金額を月末に集計。利用状況に応じて運賃の割り引きを実施しています。割引額はおおむね10%弱で回数券相当です。しかし、PiTaPaは信販会社を経由することから、申込には審査があり、発行には最低でも2週間程度かかります。審査の結果、発行できない人も少なくないようです。このため、PiTaPaの発行枚数は多くありません。
一方で、名鉄・地下鉄には既存の磁気ストアードフェアカード「トランパス」があり、これは5000円を購入すれば600円のおまけが付いてきます。manaca導入にあたって、SuicaやToicaと同様の割引のないカードとすれば、誰もが見向きもしないでしょう。かといって、単純に5000円チャージしたら600円おまけを付けられるかと言えば、そういうわけにもいきません。電子マネーですから、チャージしたお金は何にでも使えるのです。JRの乗車、コンビニの買い物、これらすべてに使えるチャージに12%ものプレミアムを付けていたら、manacaは破綻してしまいます。円天じゃないんですからね^^;
1ヶ月の利用額 | 付与ポイント率 |
---|---|
~2,000円未満 | なし |
2,000円~5,000円 | 10% |
5,000円~10,000円 | 12% |
10,000円~15000円 | 12.5% |
15,000円以上 | 13% |
そこで採ったのが、マイレージポイント制度です。つまり、名鉄や地下鉄などmanaca加入会社の利用に限って、キャッシュバックをする、というものです。
ポイントは1ヶ月の利用状況に応じて還元率が異なりますす。表に地下鉄のポイント率を示します。これを見るとかなり高率の還元であると言えるでしょう。同様のサービスは九州の「nimoca」や「はやかけん」がありますが、最大でも10%には届かず、従来のSF磁気カードからは見劣りするものでした。これに対し名古屋市交の還元率は数字の上ではトランパスと変わりありません。
さらに、昼間割引きユリカの代用として、平日昼間・土休日終日にはさらに高いポイントが付与されます。
制度上は、かなり付加価値の高いサービスに見えますが、実際のところはどうでしょうか。次回は、簡単なシミュレーションをやってみようと思います。