みなさん、ご無沙汰しています。これまで「月刊」と銘打ってJR東海の気動車の動きをお伝えしてきましたが、更新をすっかりサボってしまい、6月号は幻となりました。失礼いたしました。
さて、すでにご存知の方も多いと思いますが、高山線に残っていたキハ40系(キハ40・48)の運用が6月30日をもって終了しました。3月改正の段階で旧型車の淘汰が行われた太多線とともに、美濃太田車両区管内の気動車はキハ75・25形に統一され、更新が完了したことになります。
また、紀勢線・参宮線系統にも、キハ25形2次車の配置が進んでおり、出番を待っている状態です。
では、順にまとめていきましょう。
高山線・太多線の車両更新は昨年度(2014年度)から始められ、キハ25形の2次車(1000番台)が8編成16両新製配備され、旧型車の置き換えが進んでいきました。さらに、今年の3月の武豊線電化によって捻出したキハ75形・キハ25形1次車(0番台)が美濃太田車両区に計34両転属となり、同月14日のダイヤ改正で運用を開始。置き換えが一気に進み、太多線はキハ75・キハ25に統一されたほか、キハ11・キハ47の運用が消滅しました。
一方、武豊線からの転用となったキハ75・キハ25は、改造工事が必要であったことから、すべての車両が運用に就くことはできず、この穴埋めとしてキハ40・48形の運用が改正後も残っていました。
この改造工事が完了したことから、7月より高山線の普通列車運用もキハ25・キハ75に統一されたというわけです。
形式・運用 | 2015.3 | 2015.7 | 備考 |
---|---|---|---|
キハ75形×2連 | 5行路 | 5行路 | ワンマン |
キハ75形×3連 | 2行路 | 4行路 | |
キハ40/48形×3連 | 2行路 | - | |
キハ25形×2連 | 7行路 | 12行路 | ワンマン |
キハ40/48形×2連 | 5行路 | - | ワンマン |
上の表に示したとおり、3月改正の時点で残っていたキハ40/48の運用は、3連と2連(ワンマン)の2種類がありました。3連は主として岐阜~美濃太田間のラッシュ時に運用され、今月からキハ75の3連に置き換えられました。2連ワンマンは、北部の猪谷まで運用されていた行路で、今月からキハ25に変更となっています。
なお、キハ75はドアステップがありませんので、低いホームのある区間には入れず、下呂が運用の北限です。一方、キハ25形の1次車(0番台)はステップ取り付け改造を受けて全線での運用が可能となり、転換クロスシートを備えるキハ25形1次車が猪谷まで運用されるようになりました。
キハ75形気動車は、全部で40両。快速みえ用に新製された1次車(0/100番台)12両のほか、その後、急行かすが・武豊線向けとして増備された2次車28両があります。このうち、2次車は非ワンマン(200/300番台)18両と、ワンマン(400/500番台)12両となっており、全車が名古屋車両区の配置でした。
このうち、美濃太田区に転属したのは、2次車の非ワンマン車のうち12両と、ワンマン車が全12両の計24両です。1次車の12両すべてと2次車の非ワンマン車4両が名古屋車両区に残り、快速みえの運用を続けています。
さらに、美濃太田区の転属にあたっては、ワンマン車を増やすため、一部の非ワンマン車にワンマン改造が行ったほか、全車を寒冷地仕様とする改造工事を実施しています。改造は全車に及びましたが、18両を運用しながら、6月までに順次改造を完了。以下に改造の状況を示します。緑地はワンマン車です。
種車 | 改番後 | 備考 |
---|---|---|
203+303 | 1203+1303 | 耐寒改造 |
204+304 | 1204+1304 | |
205+305 | 1205+1305 | |
206+306 | 3206+3306 | ワンマン 耐寒改造 |
207+307 | 3207+3307 | |
208+308 | 3208+3308 | |
401+501 | 3401+3501 | 耐寒改造 |
402+502 | 3402+3502 | |
403+503 | 3403+3503 | |
404+504 | 3404+3504 | |
405+505 | 3405+3505 | |
406+506 | 3406+3506 |
このように、非ワンマンの耐寒仕様車は1000番台(全6両)、ワンマンの耐寒仕様車は3000番台(全18両)を名乗ることとなりました。非ワンマン車はもっぱら3連行路に入っていますので、ペアを分割され、他の2両にくっついて走っていることが多いようです。
ところで、先に表に示したとおり、キハ75のワンマン運用は5行路しかありません。ワンマン車は予備を考慮しても、もともとワンマンであった3400/3500番台の12両で足りるのですが、あえて非ワンマン車6両をワンマン改造し、18両体制としています。これは3連がラッシュ時だけの運用で、2連運用に比べて運行距離が短いことから、走行距離を揃えるための配慮でしょう。3両編成は2両編成としばしば組み替えが行われています。
なお、名古屋区に残った16両だけでは、土休日の快速みえ増結に不足するので、美濃太田区からの応援運用があります。詳細は以下の記事をご覧ください。
美濃太田区のキハ25は、高山線・太多線向けに新製配置された2次車(1000番台・ロングシート)16両と、武豊線からの転用である1次車(0番台・転換クロスシート)10両があります。3月のダイヤ改正時点で、運用に就いたのは2次車だけでした。1次車はドアステップを取付改造工事を受けるため、運用から外れていたんですね。
この改造工事がすべて完了したたため、7月から1次車も本格運用に入りました。
項目 | 1次車 | 2次車 |
---|---|---|
番台区分 | 0/100番台 | 1000/1100番台 |
在籍数 | 5編成 (10両) | 8編成 (16両) |
編成番号 | P1~P5 | P101~P108 |
座席 | 転換クロス | ロング |
さて、みなさんが気になさっているのは、1次車と2次車の運用は独立か?共通か?かと思います。高山線北部の長距離運用はキハ25限定となりましたので、転換クロスシートかロングシートか、はたまた日替わりなのかは気になるところでしょう。
いま、情報を集めているところなのですが、例外もあるが、独立した限定運用っぽい?といった感触です。
以下に示したのは、3月時点での想定運用図です(画像をクリックorタップするとPDF形式で開きます)。
いまのところ、これまでのキハ40系2連の運用(黒の実線)にキハ25の1次車が入っている感じです。ただし、この行路は5行路あり、予備車の関係で1次車5編成だけでは足りませんから、2次車が代走することもあります。また、運用そのものが見直されている可能性もありますので、参考程度にとどめてください。
一方、紀勢線・参宮線についても、キハ25の新製配置が続いています。現在まで9編成18両が新製され、試運転や乗務員訓練が行われている模様。最終的に18編成36両となる予定で、今年度中にキハ40・48形、キハ11(300番台を除く)を置き換える予定です。
編成名 | 車番 | 仕様 | 所属 |
---|---|---|---|
M1 | 1009+1109 | 寒冷地向け | 名古屋区 (海ナコ) |
M2 | 1010+1110 | ||
M3 | 1011+1111 | ||
M4 | 1012+1112 | ||
M101 | 1501+1601 | 暖地向け | |
M102 | 1502+1602 | ||
: | : | ||
M105 | 1505+1605 | ||
: | : | あと9編成? | |
M114? | 1514+1614? |
新製したキハ25は、美濃太田所属と同じ寒冷地向けの1000/1100番台が4編成、残りは暖地向けの1500/1600番台となっています。いずれも片側3ドアのロングシート車です。紀勢線・参宮線系統は暖地向けでよいのですが、あえて4編成を寒冷地向けとしたのは、波動輸送時の高山線に予備車を融通することに備えたものと考えられます。
配置区所は伊勢車両区(海イセ)ではなく、名古屋車両区(海ナコ)となっています。今年度末に伊勢車両区が名古屋車両区に統合されることから、あらかじめ名古屋区所属としているようです。
追記です。7月22日付けJR東海プレスリリースに、8月1日よりキハ25が紀勢線・参宮線で運用するとありました。また、ミャンマーへの追加譲渡(キハ40・キハ11 計56両)についても発表されています。詳細は以下をごらんください。
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