2013年3月16日に実施されるダイヤ改正の概要について、本日JR東海より発表がありました。
名古屋地区の在来線では、中央線に大きな動きがあります。セントラルライナーの運転とりやめ、昼間から夜にかけてのパターン見直しなどが大きなニュースと言えるでしょう。
その他、東海道線については、ラッシュ時の快速・普通の増発と編成増強。その一方で、ホームライナーの運転本数縮小が発表されています。関西線は大きな動きがありません。
ダイヤ改正のたびに、なくなるのではないかと噂されていたセントラルライナーですが、2013年の改正で運転を取りやめることになりました。
セントラルライナーは、1999年12月のダイヤ改正で中央線(名古屋~中津川)に登場した定員制の有料ライナー。特急の間合いでラッシュ時に運転するホームライナーは以前よりありましたが、セントラルライナーは、データイム(昼間時)を中心に運転するのが特徴。車両は専用の313系8000番台を新製投入。JRセントラルタワーズの開業もあいまって一時は人気を博し、臨時の増結や車両の追加投入も行われました。
その一方で、昼間時の全席有料・自由席なしという設定に疑問の声も少なくありませんでした。車両は一般車に比べて多少豪華ではあったものの、座席はリクライニング機構もなく、朝ラッシュには快速・普通に使われるため片側3扉を設置。座席が少ない上に、ライナー運用の際には中央の扉を閉め切るという特殊な運用となりました。さらに、もともと毎時快速4本・普通4本のダイヤであったダイヤのうち、快速1本をライナーに振り替えて設定しため、ダイヤが不均等で使いにくいものとなり、近距離客を中心に不満の声が上がっていました。くわえて運転本数の少ない多治見~中津川間では、救済措置として乗車整理券不要の扱いが採られるなど、とにかく存在自体がややこしい列車でした。
こうした状況を受けて、2008年にセントラルライナーの開けたダイヤの穴を埋めるべく、普通列車が毎時1本増発されます。この当時、中央線のデータイム輸送量は、名古屋市内の地下鉄的な利用に比重が移っていったんですね。さらに名鉄も昼間の全車有料特急を大幅に縮小。長引く不況の中、存在意義がいよいよ怪しくなってきます。
そして、今回の改正。ついに、セントラルライナーの運転取りやめとなったものです。
さて、昼間時の中央線の運転パターンについて、CL設定時の1999年・現行(2006年~)・2013改正後のそれぞれ表をにして比較してみました。今回は、公式のプレスリリースにある別紙資料(PDF)の出来が非常によいので、そちらを見てもらった方がわかりやすいかもしれません(笑)。
名古屋発・種別 | 行先 | |
---|---|---|
00 | 特急 | 長野 |
03 | 快速 | 中津川 |
10 | 普通 | 高蔵寺 |
18 | 快速 | 多治見 |
25 | 普通 | 瑞浪 |
30 | CL | 中津川 |
37 | 普通 | 高蔵寺 |
45 | 快速 | 多治見 |
52 | 普通 | 多治見 |
名古屋発・種別 | 行先 | |
---|---|---|
00 | 特急 | 長野 |
02 | 快速 | 多治見 |
09 | 普通 | 高蔵寺 |
15 | CL | 中津川 |
17 | 普通 | 多治見 |
24 | 普通 | 高蔵寺* |
32 | 快速 | 中津川 |
39 | 普通 | 多治見 |
47 | 快速 | 瑞浪 |
53 | 普通 | 高蔵寺 |
名古屋発・種別 | 行先 | |
---|---|---|
00 | 特急 | 長野 |
02 | 快速 | 瑞浪 |
09 | 普通 | 多治見 |
16 | 普通 | 高蔵寺* |
24 | 快速 | 中津川 |
31 | 普通 | 多治見 |
39 | 普通 | 高蔵寺 |
46 | 快速 | 中津川 |
53 | 普通 | 高蔵寺 |
と、こんな具合です。現行のダイヤ(2008年~)は、快速とセントラルライナーを合わせて15分ヘッドで運転し、その間にランダムな行先の普通列車が1~2本走るダイヤでした。
改正後は、快速3本をほぼ20分ヘッドとして、その間に普通を2本(一部1本)走らせるダイヤ。ちょうど夕方ラッシュ時の快速3-普通6のダイヤから、普通を1本間引いたような形になっています。ただし、ダイヤを調整して、運転間隔があまり開かないように工夫はされているようです。
パッと見はセントラルライナーの純減に見えますが、一方で多治見止まりの快速が中津川まで延長されており、実質減はライナーの名古屋~多治見間のみと言えるでしょう。ライナーの愛好者の方はともかくとして、多くの利用者にとって実効本数は変化がなく、むしろ乗換やライナー待避が不要となることで、かえって使いやすいダイヤになったような気がします。そもそも2008年の改正で普通列車の増発がなされていますしね。
同じく中央線について、夕方ラッシュを見てみます。セントラルライナーは運転を取りやめることになりましたが、ラッシュ時の有料ライナーは需要がありますので、ホームライナーとして運転を継続します。ただし、ホームライナーとセントラルライナーは、停車駅に違いがありますので、ちょっとした変更が加えられています。以下、パターンの比較を表に示します。
現行ダイヤ | 改正ダイヤ | 摘要 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
名古屋発・種別 | 行先 | 名古屋発・種別 | 行先 | |||
00 | CL | 中津川 | 58 | HL | 瑞浪 | 繰上げ・種別変更・運転区間縮小 |
02 | 普通 | 瀬戸口 | 02 | 普通 | 瀬戸口 | |
08 | 快速 | 中津川 | 08 | 快速 | 中津川 | |
14 | 普通 | 多治見 | 14 | 普通 | 多治見 | |
22 | 普通 | 高蔵寺 | 22 | 普通 | 高蔵寺 | |
28 | 快速 | 中津川 | 28 | 快速 | 中津川 | |
34 | 普通 | 多治見 | 34 | 普通 | 多治見 | |
40 | 特急 | 長野 | 40 | 特急 | 長野 | |
42 | 普通 | 高蔵寺 | 42 | 普通 | 高蔵寺 | |
48 | 快速 | 瑞浪 | 48 | 快速 | 中津川 | 運転区間延長 |
54 | 普通 | 多治見 | 53 | 普通 | 多治見 | 1分繰り上げ |
セントラルライナーは名古屋市内の停車駅が名古屋・金山・千種のみで、新守山で先行の普通を追い抜くダイヤでした。しかし、下りのホームライナーは名古屋~大曽根間各駅停車のため、後続の普通列車(毎時02分発瀬戸口行)が2分続行で走るには厳しいダイヤです。そこで発車時刻を2分繰り上げ、後続の普通列車との間隔を拡げたようです。また、大曽根の次の新守山で先行の普通を追い抜くのもダイヤ上厳しいので、神領または高蔵寺で追い抜くダイヤとしたのでしょう。先行の普通列車(毎時54発多治見行)も名古屋駅の発車時刻を1分繰り上げています。
また、現行のダイヤは、毎時3本ある快速のうち1本を瑞浪止まりとし、瑞浪以遠へは後から追いついてくるセントラルライナーに乗り換えるダイヤでした。セントラルライナーの多治見~中津川間は乗車券だけで乗車できるので、乗車整理券を持たない乗客でもライナーへの乗り換えが可能でした。
改正後は、全区間乗車整理券が必要なホームライナーとなったため、逆にライナーを瑞浪止まりとし、先行の快速(中津川行きに延長)に乗り換えるダイヤに変更されています。
続いて夜間です。20時ごろから、中央線はホームライナーが約40分間隔で運転されていましたが、運転本数を見直し、1時間ヘッド(毎時58分)に変更されています。本数としては1本減った勘定ですが、代わりに中津川行きの快速(名古屋21:08発)が増発されています。
東海道線は快速の増発・延長運転が発表されています。ただし、よく見ると、同じ時間帯のホームライナーが運転を取りやめることになっており、ライナーを快速に振り替えたと言うべきでしょうね。トータル本数的には大垣→名古屋で1本減のようです。
この改正で、名古屋~豊橋間を走るホームライナーは平日・土休日ともに全廃となりました。
関西線は新幹線接続のため、快速みえの時間を若干変更したのみの発表です。
サービス関係では、東海の在来線特急は車内販売をすべて取りやめるとのこと。新幹線のミュージックチャンネルもひっそりとサービスを終了します。
この記事に多数のコメントをいただきましたが、とくに今後の車両の動きについて注目が集まっていることから、別記事を起こしました。
新たに明らかになった新情報のほか、313系8000番台の処遇などについて予想も含めまとめました。
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