すでにニュース等では報道されていましたが、交通系ICカード主要10種の相互利用を2013年3月23日より開始することが決定し、本日加盟各社より一斉に公式発表されました。また、JR東海と近鉄のIC連絡定期の発売も同日より開始することになり、合わせて発表がありました。
まずは公式発表のリンクを紹介しておきますが、別添のPDFファイルはどこのリリースも共通なので、JR東海のニュースリリースのみを貼っておきます。
以下の表は、相互利用が可能となる10種のカードをまとめたものです。表内の数字は、2012年12月現在における発行枚数・会員数(PiTaPa)で、リリースの資料より抜粋したものです。
JR系 | 民鉄・公営系 | |
---|---|---|
北海道 | Kitaca (45万) |
- |
東日本・関東 | Suica (4,127万) |
PASMO (2,152万) |
東海 | TOICA (140万) |
manaca (266万) |
西日本・関西 | ICOCA (744万) |
PiTaPa (230万) |
九州 | SUGOCA (80万) |
nimoca(181万) はやかけん(44万) |
交通系ICカードは各地域で独自の展開がなされたことから、主要なカードだけでも10種に及んでいます。地域内の相互利用や、JR系の相互利用はある程度可能でしたが、地域を越えた相互利用は制約が大きく、とくに民鉄系・公営系のカードは一部を除き、ほとんど地域外での利用ができませんでした。2000万枚以上の発行枚数を誇るPASMOでさえ、ちょっと西へ行くとまったく使えない有様だったんですね。
そこで、2010年より相互利用に関する検討が始まり、今回の公式発表に至ったものです。これにより1枚のICカード乗車券で、全国的にかなりのエリアをカバーできることになります。manacaで東京の電車に乗ったり、北海道で利用したり、Suicaで名鉄に乗るなんてこともできるようになります。
ただし、何でもかんでも共通かと言えば、そうではありません。定期券は作れるカードが限定されますし、マイレージポイントなどの特典までは共通利用できません。manacaで東京の定期券は作れませんし、Suicaで名古屋の地下鉄を利用してもポイントは貯まりません。このあたりの詳しい話は、以下の過去記事に詳しく書いています。
さらに、JRの会社境界の壁は解消しておらず、エリアを跨いでの利用はまだできません。JR東海エリアから直接JR東日本エリアや西日本エリアへ行くのに、ICカードが使えないのは相変わらずです。熱海・米原に立ちはだかる壁は予想以上に険しいですね。
また、この10種のカードの中で唯一ポストペイ(後払い)方式を採っているPiTaPaについては、相互利用の際にはポストペイとせず、付随するチャージ機能を使うことになります。PiTaPaは交通利用額の請求が後から来る後払い方式が基本ですが、現在でもJR西日本に乗るときはチャージをして使います。
公式リリースには10種のカードの電子マネー相互利用についても同日に開始するとあります。すでに交通利用では相互利用をしつつも、電子マネーの相互利用ができなかったTOICAとmanacaもやっと利用が可能になるわけですね。交通系ICカードでの電子マネー機能と言えば、コンビニ利用がもっとも多い利用シーンなのですが、愛知県下のコンビニはTOICA陣営とmanaca陣営にきれいに分かれており、使いづらいことこの上なかったのですが、ようやくこれも解消となります。
一方、電子マネーの相互利用に関しては『PiTaPaを除く』となっていています。PiTaPaにはチャージ機能もあるので、相互利用もできなくはないのでしょうが、PiTaPaとしてはポストペイ決済を進めたかったのでしょうか。
なお、PiTaPaですが、お膝元の関西でも使えるコンビニがほとんどありませんでした。私も関西へ出かけるとコンビニの支払いにはPiTaPaが使えず、TOICAを使う有様で…。ところが、先月末に大きな異変が起き、サークルKサンクスが関西および三重県の店舗(1,141店)でPiTaPaの後払い決済を導入しています。サークルK・サンクスと言えば東海地方が地盤であり、関西でPiTaPaを使える事実上唯一のコンビニになるとは、ちょっと意外でした。
主要ICカード10種の相互利用が開始となる来春3月23日、JR東海と近鉄の連絡定期券も発売が開始となります。
この連絡定期券、JR東海で発売する場合はTOICAで、近鉄で発売する場合はICOCAでの発券となります。先日の記事でお伝えしたとおり、近鉄は今年12月よりICOCAを本格導入し、ICOCA定期券の発売を開始しています。近鉄はPiTaPa定期券を導入していないので、連絡定期券もICOCAで実施するというわけです。このほか、磁気券でも発行が可能とのこと。
連絡定期の接続駅は、名古屋と桑名の2駅。それぞれの接続駅で発行可能な定期券の範囲が限定されており、名古屋接続の場合で東海道線は大垣~豊橋間、中央線は瑞浪まで。高山線や太多線との連絡定期券は発行不可です。
一方で、もっと需要がありそうな、近鉄と名古屋市営地下鉄の連絡定期券は、発表がありません。近鉄とmanacaとの連絡定期券については、いまのところ公式な発表は何もないんですね。需要は大きいと思いますので、いずれは実現するとは思うのですが…。
鉄道事業者 | 基本カード | 連絡定期の相手先 | ||
---|---|---|---|---|
JR東海 | 名市交・名鉄 | 近鉄 | ||
JR東海 | TOICA | (TOICA) | TOICA | *TOICA 磁気券 |
名古屋市交通局 名鉄 |
manaca | manaca | (manaca) | 不可 |
近鉄 | PiTaPa ICOCA |
*ICOCA 磁気券 |
不可 | **(ICOCA) |
最初の表を見て驚かれた方もあるかもしれませんが、manacaの発行枚数が266万枚に達しています。別の出典(IBMのソリューション事例)によれば、今年4月の段階で250万枚に達していたとのことで、サービス開始からわずか1年あまりで、交通系ICカード第4位に躍り出たことになります。今年4月と言えば、回数券は廃止、トランパスの利用もできなくなっており、これらがなくなる前に買い溜めしておいた人も、あきらめてmanacaに移行した時期ですね。
さてmanacaには、名鉄系の(株)エムアイシー発行のものと、名古屋市交通局系の(株)名古屋交通開発機構のものがありますが、今年の4月の段階(総計250万枚)での内訳は以下のとおりです。
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