JR東海は、在来線の新しい保安システムATS-PT形を平成23年度末までにすべての路線に整備する計画です。すでに、一部区間では貨物列車のみ使用を開始していますが、今月(平成23年1月)より旅客列車でも使用を開始する予定です。
では、ATS-PTとはどんなものなのでしょう。耳学問ながらいろいろ調べてみましたので、何回かに分けてちょっと紹介していきたいと思います。なお、私は専門家ではありませんので、勝手な解釈で間違っているところもあるかと思いますが、どうぞご容赦を<(__)>
まず、みなさんが気になるのはここでしょう。たとえば、階段状に速度を落としていた東海道新幹線は、デジタルATCを導入して一気にブレーキをかける方式に替わり、駅へ進入する際の所要時間を短縮しました。ATS-PTも何か変わるのかとちょっと期待していたのですが、いろいろ調べた結果…。
「ほとんど何も変わりません^^;」あくまでATS-PTは、現在の信号システムや速度制限に対するバックアップでしかないようです。パターン速度照査とはいうものの、運転の扱いは従来どおり。速度パターンには余裕があっても、信号が黄色なら45または55km/hにまで落とすルールに変わりありません。ギリギリまでブレーキを遅らせて列車間隔を詰めるデジタルATCのようなことは想定外です。
また、首都圏などのATS-Pは、車両からブレーキ性能の情報を受取り、性能の高い車両の場合は「警戒現示」(黄色が二つ・25km/h制限)を「注意現示」(黄色一つ・55km/h制限)に変えるという機能を持っていますが、どうもATS-PTにはなさそうです。
変わることと言ったら、運転席から聞こえてきた「じりりりりーん。きんこんきんこん」というATS-ST形の警告音が聞こえなくなることぐらいでしょうか。
では、ATS-PTの特徴について、説明していきましょう。
ATS-PTは、連続パターン速度照査を行なうATS-Pに、JR東海独自の機能を加えたものです。地上子から速度制限箇所までの距離などの情報をデジタル信号で受取り、車上装置が列車の性能に応じた速度パターンを作成し、この速度パターンと実際の速度を比較し、越えた場合は警告を発したり、ブレーキをかけたりします。
以下に、ATS-PTの特徴を示します。文字ばっかりで恐縮です。専門用語がいっぱいあってよくわからないかもしれませんが、追々こまかな説明を加えていく予定でいます。
ざっと、こんな感じです。高く評価できるのは、廉価版ながらもATS-Pをすべての路線に整備するという点でしょう。これは他のJR各社がまだ実現していないことです。
一方、非常ブレーキしかないという点は評価が分かれそうです。通常どおりの運転をしていれば、非常ブレーキが動作することはないので、大きな問題はないように思います。しかし、訓練運転を見ていると、運転士にはプレッシャーを与えているようです。非常ブレーキを警戒するあまりに、必要以上に速度を落として所要時間が伸びる、てなことがなければいいんですけどね。このあたりはお手並み拝見といきましょう。